災害に弱い、新しい、低い、
災害に強い、古い、高いを覚えておこう

地震、津波、水害その他の自然災害に強い街を考える際に、覚えておきたい言葉の組み合わせがあります。それが見出しにあげた「災害に弱い、新しい、低い」「災害に強い、古い、高い」という3つの言葉です。完全にイコールというわけではありませんが、低い、新しい土地は弱い、あるいはその逆と思っておけば安全は確保されます。

地盤に限らず、モノの固さはそこに含まれる水分量で決まります。木綿豆腐が絹ごし豆腐より硬いのは水分量が少ないからと考えれば、イメージがつくでしょう。そして、水は低きに流れることを思えば、低い土地に危険があることも分かりやすいはずです。

豆腐

豆腐料理を作る際にはおもしを乗せて少し水分を抜く。味がよく染みるようになるという

では、もうひとつ、古い、新しいは何かといえば、これは豆腐の水切りをイメージしてみてください。豆腐の上に皿などのおもしを乗せておくと、その重みで水分が抜け、豆腐が固くなるというあれです。それと同じことが地球の上でも起こります。ただし、土地の上に皿を乗せて水切りをするわけではなく、皿同様の効果を持つのが時間です。イメージとしては、山の中の水分が自分の重みで少しずつ抜けていくような感じです。

 

この3つの言葉の関係が分かれば、あとはその場所の高い、低いと古い、新しいを知ることで危険を察知できるようになります。具体的には以下にご紹介するサイトをチェックすることで、地盤調査会社が実際の調査をする下調べの状況くらいまでの情報を得ることができるようになります。では、以下、実際のサイトと何が分かるかを見ていきましょう。

その場所の新旧を知る。
20万分の1シームレス地質図

地層年代を説明するボックス

情報を知りたい場所をクリックすると詳細な説明が書かれたボックスが立ち上がる(クリックで拡大)

その場所の新旧を知るためにまず見ていただきたいのが、産業技術総合研究所地質調査総合センターが作っている20万分の1シームレス地質図。これはグーグルマップの上に日本全国の20万分の1の地質図を重ねたもので、知りたい場所をクリックするとその土地がいつできたものかが分かります。たとえば、東京では下町エリアが地盤の弱い場所ですが、クリックすると「約1万8000年前~現在までに形成された最も新しい時代の地層」と解説が出ます。逆に多摩川と荒川の間に広がる武蔵野台地では場所によって多少年代が違うものの、もっと古い時代に作られていることも分かります。

 

また、この地質図では2013年10月から標高が表示されるようになっており、それを見るだけでも低地、台地その他が分かります。標高が10m以下であれば低地ですし、20m以上あれば、台地だろうと推察できるのです。

もうひとつ、この地質図ですごいのは、スマホ、アイフォーンなどでも利用できること。GPS機能で現在地表示をすれば、今、自分が立っている場所がいつできた地層かが分かるわけで、下見時にはぜひ、使ってみていただきたいものです。ただし、20万分の1なので、境界に近い場所ではどちらに属しているかが分かりませんし、台地上の微細な窪地などが表示されないこともあります。サイトで状況を確認した後、その場所と周囲の関係を確認、低くなっていないかは必ず、自分の目でチェックしたいところです。

その場所の高低を知る。
グーグルアース+東京地形地図

グーグルアース+東京地形地図

グーグルアースの上に東京地形地図を載せたもの。色分けで高低が誰にでも分かる(クリックで拡大)

土地の高低は地形図上の等高線を見ていけば分かるものですが、慣れていないと分かりにくいもの。それを高さで色分けして、誰にでもぱっと分かるようにしたのが東京地形地図。最初にグーグルアースをダウンロード、その後に東京地形地図をダウンロードすると、重ねて見られるようになります。

 

ただし、東京と銘打たれている通り、東京以外のエリアも含まれてはいるものの、首都圏全域をカバーしているわけではないので、ない場所については残念と諦めるしかありません。

その場所のかつての姿を知る。
今昔マップon the web

今昔マップon the web

今昔マップ on the webのトップ画面。首都圏以外の地域も見られる(クリックで拡大)

土地そのものの新旧に加え、改変の履歴を知ることも大事です。日本では昭和30年代の高度経済成長以降、埋め立て、造成が広く行われ、かつての池が住宅街になるなど、危険が見えないようになってきています。そこで安全な場所を選ぶためには、過去の土地利用も調べる必要があるわけですが、過去の地図(旧版地図)は時代によって鉄道、道路がなく、地名が現在と異なるなど、分かりにくいことがあります。それを簡単に、誰にでも分かるようにしてくれたのが、この今昔マップon the web

 

新旧の地図が一度に見られる

左右に新旧の地図が表示される。これならいつの時代の地図を見ても、現在の場所が分かる(クリックで拡大)

このサイトでは左右に過去、現在の地図が並んで表示され、古い地図の上に載せたカーソルが現在の地図上にも出るようになっており、過去の地点が現在のどこに当たるかが一目で分かるようになっています。見られるエリアは首都圏、中京圏、京阪神圏、札幌、仙台、広島、福岡・北九州、岩手県・宮城県・福島県の海岸部。年代としては、明治から現在まで。収録されている旧版地形図は1759枚に及んでいます。

 

ここでチェックしたいのは、これから選ぼうとしている場所が、埋め立て地や川の跡など、災害に弱い土地でないかどうか。もし、そういう場所であったとしたら、選ぼうとしている建物が十分それに備えたものであるかどうかも調べておきたいところです。

その場所の災害危険度を知る。
J-SHIS 地震ハザードステーション

地震の危険度を知る

色分けで危険度を見る。知りたい地点の解説については左側に一覧表となって出てくる(クリックで拡大)

地震の危険性をストレートに教えてくれるのが、防災科学研究所が作っているJ-SHIS 地震ハザードステーション。地図上、一番左の「確率論的地震動予測地図」を選択、その下のブルダウンメニューから「30年 震度6強以上の揺れに見舞われる確率の分布図」を選ぶと、震度6強以上という非常に強い地震に見舞われる確率の高いエリアが分かるようになります。さらに調べたい土地をダブルクリックすると、その土地の情報がボックスで表示されるという仕組みです。

 

これまでの研究では震度が6強を越すと、建物の被害はぐっと増えることが分かっており、新耐震であっても木造住宅には倒壊の可能性があります。注意すべきは震度6強がどの程度起こりうる場所なのかという点というわけです。ちなみに東京都庁のある場所での確率は1.5%、皇居は1.3%、浅草寺が14.6%などなど。左上のボックスに地名や建物、場所の名称を入れ、場所を検索をクリックするとこうした場所にピンが立つようになっています。

また、このサイトはスマホ、アイフォーン用のアプリも用意されており、冒頭に紹介した20万分の1シームレス地質図同様に、現在地の危険度をその場で知ることができます。防災科学研究所ではこの他、お遊び感覚でその場の危険度を調べてくれる「もしゆれ」というアプリも作っており、こちらも遊びと言いつつ、かなりお役立ち。ぜひ、使ってみてください。

住宅の地盤診断を無料で行う。
G-Space 2 住宅地盤診断

住宅地盤の診断結果

左側に表示される住宅地盤の診断結果をチェック。その下には液状化その他、地震時の被害の可能性も表示される(クリックで拡大)

最後は地盤の状況をストレートに教えてくれるサイト、G-Space 2です。これはアサヒ地水探査という地質・地下水調査を行う会社が、住宅地盤調査や構造設計、不動産の専門家向けに作っている日本全国の地質地盤情報サービスの一部を簡略版として無料で使えるようにしたもの。自分が調べたい場所の住所を入力あるいは地図上でクリックすると、標高値、住宅地盤診断、災害リスク評価が表示され、レポートとして1枚にまとめて出力することもできるようにもなっています。

 

特に大事な部分は画面左側に表示される住宅地盤の診断結果。これは国土地理院の土地条件図、同治水地形分類図の地形区分から、宅地としての適性を地質地盤の専門家が評価したもので、良、やや良、普通、やや不良、不良、対象外の6段階で表示されます。その段階表示の下には、その土地が住宅地盤としてどのようなものかが表示されますが、ここで注意したいのは、やや不良という評価以下の土地。不安要素がある場所という意味ですから、土地や住宅を購入する際にはきちんとした調査が欠かせませんし、場合によっては地盤改良などが必要になると思ったほうが良いでしょう。

また、この診断結果のうち、一番ランクの低い「対象外」という土地は川や沼周辺の低地や埋め立て地、造成地のうちでも危険度が高いと言われる盛土である可能性を示唆しており、できることであれば、こうした土地は避けたほうが無難でしょう。

要注意エリア

赤く示されているのが要注意エリア。この周辺での住宅購入には慎重を期したほうが良い(クリックで拡大)

もうひとつ、このサイトで必ず見ておきたいのが、要注意エリア。地図画面の上部にある「重ね合わせ情報」のうち、要注意エリアボックスにチェックを入れると、地図上に赤く表示されるのが要注意エリア。上述の対象外エリアが視覚化されると思っていただけば良いでしょう。もちろん、ここも慎重にならなくてはいけない場所です。

 

以上、災害に強い街を選ぶ際に見ておきたいサイトをご紹介しました。事前に見て、現地でも確認という形で使えば、災害時のリスク軽減に役立つはず。いずれも使いやすいものですから、ぜひ、試してみてください。


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