ドラマ/冬ドラマ情報

『明日、ママがいない』は野島伸司「風」ドラマ

『明日、ママがいない』、社会の暗部をひねった視点から取り上げ、芦田愛菜のヤサグレ演技もすごい。『家なき子』から20年、その後継的ドラマです。さすが「野島伸司ドラマ」ともいわれますが、本当にそうでしょうか。脚本でも企画でもない、脚本監修って?

黒田 昭彦

執筆者:黒田 昭彦

ドラマガイド

『明日、ママがいない』、お正月に情報をチェックした時は明らかになっていませんでしたが、野島伸司が脚本監修していたんですね。

見ていても社会の暗部をひねった視点から取り上げる野島伸司らしさ満載。芦田愛菜のヤサグレ演技もすごい。『家なき子』から20年、その後継的ドラマです。

 

現代にあっているか

しかし見ながらこれで大丈夫か?とも思っていました。不安に思ったところは二つあります。

ひとつは「過激描写が90年代では許されても現代ではいけるのか?」ということ。放送直後から抗議がきたことで不安は現実のものとなりました。
日本テレビは「このドラマでは子供たちの心根の純粋さや強さ、たくましさを全面に表し、子供たちの視点から『愛情とは何か』をいうことを描く趣旨のもと、子供たちを愛する思いも真摯に描いていきたいと思っております。 是非、最後までご覧いただきたいと思います。」とコメントしています。

もう一つの不安点は「今の時代にヒットするのかということ」。
昨年末のガイ ド記事「半沢直樹、あまちゃんヒットとアベノミクスの関係は?」に書いたように、ガイドの持論として「景気が変わるとドラマも変わる」と考えています。そして野島伸司ドラマが大人気だった時期もだいたい1991~2002年の「失われた10年」と連動しています。
主な野島伸司ドラマ

                                 主な野島伸司ドラマ



失われた10年とダーク野島

バブル期はフジテレビの要望もあり明るい恋愛ドラマを書いていた野島伸司ですが、影を見せ始めたのは1992年の『愛という名のもとに』でチョロ(中野英雄)が自殺したあたり。
教師と生徒の恋愛、強姦、近親相姦などのタブー満載の『高校教師』からはダークさ全開。その後『ひとつ屋根の下』などヒット作を連発し、暗さがピークに達したのは『この世の果て』でしょうか。

人気に陰りが見え始めたのは視聴率が伸び悩んだ『世紀末の詩』あたりから。2003年の藤木直人・上戸彩版『高校教師』は平均視聴率10%台と低迷。『プライド』は木村拓哉主演ということもあり、かなり明るくなってこのころから路線が変わってきます。

このように「失われた10年」と野島伸司ダーク路線はだいたい同期。不安の多い時代だったからこそ社会現象的大ヒットになったんでしょう。

 

次は「家族思いになった?


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