子供がよく食べて、ぽっちゃりしているのは元気な証拠?
子供の頃から太っていると、大人になってから健康を害しやすくなります。大人になる前に肥満を解消することが子供の将来の健康につながります。
子供の肥満と大人の肥満は違う
子供と大人の大きな違いは、子供は成長期であり、まだ身長が伸びる可能性があるということです。大人はこの先、身長が伸びることはありませんので、肥満を解消しようとする場合、体重を落として肥満を解消する以外に方法はありませんが、子供の場合、身長が伸びる分を考慮し、成長後に身長に見合った体重になるよう食事や運動などで調節します。体重を下げるというよりも、体重に見合った身長になるまで体重を増やさないようにするといったイメージです。そのため、子供の成長に伴って目標となる体重が変ってきます。まずは、子供が肥満かどうか、どのくらいの体重を目指せばよいかの目安についてみてみましょう。
子供の肥満度の計算法
大人の肥満度はBMIを使って知ることができますが、子供の肥満度はBMIでは判定することができません。どうしても身長が低い分、BMIでは低い値になってしまうのです。そのため、子供の肥満度は以下の計算式を使って判定します。肥満度(過体重度)=(体重(kg)-身長別標準体重(kg))/身長別標準体重(kg)×100(%)
標準の範囲 -20%~+20%未満
軽度肥満 +20%~30%未満
中等度肥満 +30%~50%未満
高度肥満 +50%以上
身長別標準体重は、以下のURLの表で確認できます。計算に用いる標準体重は年齢別ではなく身長別になっていますので注意して下さい。
■性別身長別平均体重
http://jspe.umin.jp/medical/files/fuhyo3.pdf
肥満はできるだけ早めに対処するほうが対策も立てやすいので、軽度肥満のうちから身長に見合った標準体重を目指してダイエットを行いましょう。
子供の成長後の理想体重は「発育曲線」で知る
発育曲線は、横軸が年齢、縦軸(左側)が身長(cm)、縦軸(右側)が体重(kg)になっています。身長・体重ともに数本の線が書かれていますが、真ん中の線が平均です。男子を例にとると、身長が130cmの場合、標準体重は約35kgと読み取れるわけです。子供の成長には個人差がありますので、10歳の身長の平均は約136cmですが、既に9歳で140cmを超えている等の場合、1年後に10歳の平均値を目指すのはナンセンスです。そのため、現在の身長を基準にして半年~1年後にどの位の身長になるかを予想し、成長後の予想身長だと体重はどのくらいになればよいのか、発育曲線から大体の目安を求めます。例えば9歳の誕生日に140cm、体重43kgの男子なら、1年後に145cmくらいまで成長すると仮定して、10歳の誕生日に145cmの標準体重である40kgくらいになるように体重を調整する等です。(参考)男子の発育曲線「横断的標準身長・体重曲線(男子:0~18歳)」
http://jspe.umin.jp/medical/files/zu1_a.pdf
(参考)女子の発育曲線「横断的標準身長・体重曲線(女子:0~18歳)」
http://jspe.umin.jp/medical/files/zu1_b.pdf
また、発育曲線を使ってその子供自身が太ったのか成長したのかを図る方法もあります。例えば、発育曲線の一番下の線に沿って成長していた子供が、身長は一番下の線に沿っているのに、突然、体重だけが一番上の線に沿ってしまうことがあります。その場合は、成長したというよりも肥満したと考えてよいでしょう。急に体重が増加したときは要注意です。
子供が太るのはなぜ? 子供の肥満の原因
子供が太る原因はいくつかあります。- 生活環境……コンビニ等で24時間、食べたいときに食べたいものが手に入りやすい
- 食生活……食事の洋風化やファーストフードの過度の利用で摂取エネルギーが多すぎる
- 生活習慣の乱れ……父親の帰宅が遅く、子供も寝ないで待っていて夜食を一緒に食べる。夜の食事が遅いので朝食が食べられず、昼から夜の食事量が多くなり、摂取エネルギーが増える。
- 運動不足……公園などの外で遊べる場所が少なく、安全性の問題などから外遊びが少なくなっているため、テレビ、ビデオ、ゲームなどの室内遊びが長時間化している。
- 高学歴志向……受験等で心理的に余裕のない子供たちは、塾通いや勉強のストレスから夜更かし、運動不足につながる
他にもあった! 子供が突然肥満になる原因
子供は大人が思っているよりも繊細です。そのため、上記に挙げた生活の乱れやストレスだけでなく、ちょっとした生活の変化でも太り始めることがあります。特に太りやすい条件を以下に挙げてみます。- 出生時体重 1500g以下、4000g以上で生まれた子供は将来肥満になりやすい
- 怪我・入院 特に骨折から肥満になるケースが多い
- 弟・妹の誕生 母親が妊娠中は外遊びが少なく、出産後は弟や妹に手がかかり、テレビ等を見ながらジュースやお菓子を与えられていることが多く、太ってしまう
- 転校・引越し後、友達ができるまでの間は、特に家の中でテレビを見たりゲームをして過ごすことが多くなりがち。春休み・夏休みなど長期休暇中の転校は特に注意が必要。
- 下校後から夕食までの間の間食 この時間にだらだらとお菓子を食べていることが多い
- 祖父母との関係 おじいちゃん、おばあちゃんからお菓子をもらっていることも
子供のメタボ診断基準
子供時代から太っていた子供は、早くから動脈硬化がすすみ、30代、40代の若さで心臓病や脳卒中などを起こす危険が高くなります。とはいうものの、子供の場合、血管等もまだまだ丈夫です。以前は、子供にメタボの症状が出てくることは少なかったのですが、最近は子供でもメタボの症状を示す子供が増えてきたため、子供(6~15歳)の小児メタボリックシンドロームの診断基準が策定されています。- 腹囲……80cm以上(小学生75cm以上) または 腹囲/身長の比が0.5以上
- 血清脂肪……中性脂肪 120mg/dl以上 かつ/または HDLコレステロール 40mg/dl未満
- 血圧……収縮期血圧 125mmHg以上 かつ/または 拡張期血圧 100mmHg以上
- 空腹時血糖値……100mg/dl以上
子供のうちからメタボになってしまうと、成人式の頃には血管はぼろぼろで30歳になる頃には脳梗塞や心筋梗塞におびえて生活することになってしまいかねません。特に、3~5歳で肥満する子供が増加する傾向にあります。3歳からの肥満は、肥満が高度であるほど改善が難しく、高度肥満につながるといわれています。発育曲線を使って身長・体重のバランスを見る、体重が増加した原因を調べできる限りの対処をするなど、親の目が届く成長期の今のうちに対処するのが得策です。
子供の肥満解消法
子供の肥満解消法も「正しい生活リズムをつかむ」「食事」「運動」が大切であり、ダイエットを行う際に実施すべきことは大人と大きくは違いません。ただし、子供の場合、食事の管理を両親が握っているので両親の協力が不可欠になります。さらに、両親だけでどうしてよいか分からない場合には、学校等には養護教諭や指定の学校医がいます。子供が太ることなく、健康で楽しい生活を送るためには、できるだけ早い時期である3歳頃から正しい生活習慣を身につけることが大切です。子供の将来のためにも、親が意識をしっかり持って、親子で励ましあえば、難しい肥満解消も可能になります。親子でがんばりましょう。