ユネスコ無形文化遺産に登録された和食
ユネスコ無形文化遺産に登録された「和食」とは何でしょうか?
それはおめでたい!と言いたいところですが、和食の何が登録されたのか、ご存じでしょうか? 世界に名を馳せる「スシ」や「テンプラ」、日本通に人気だという「キンピラ」や「トーフ」など、具体的な料理ではありません。
登録されたのは、「自然を尊ぶ」という日本人の気質に基づいた「食」に関する「習わし」。あくまでも文化なのです。ちなみに、既に登録されている食に関する無形文化遺産には、フランスの美食術やメキシコの伝統料理・地中海料理(スペイン・イタリア・ギリシア・モロッコの共同提案)などが挙げられます。
無形文化遺産登録の申請にあたり農林水産省が作成したリーフレットによると、和食文化の特徴は以下の4つとなります。
- 多様で新鮮な食材とその持ち味の尊重
- 栄養バランスに優れた健康的な食生活
- 自然の美しさや季節の移ろいの表現
- 正月などの年中行事との密接な関わり
このような「和食」、もっと詳しく知りたいと思ったら、『日本の「食」とくらし』をご覧ください。『日本の「食」とくらし』は、お子さんだけ、お子さんと一緒に、大人でも充分、楽しめるシリーズなのです。
5冊丸ごと日本の食文化について解説! 『日本の「食」とくらし』
『日本の「食」とくらし』は、全5巻からなるシリーズで、各巻の構成は次のようになっています。- 第1巻 地域ごとに比較しよう お雑煮、そば・うどん、すし、みそ
- 第2巻 季節ごとに体験しよう おせち、かしわもち、おはぎ
- 第3巻 時代ごとに調査しよう 縄文クッキー、おにぎり、カステラ
- 第4巻 現代の食を考えよう パン、カレーライス、カップめん
- 第5巻 都道府県別 調べ学習データブック
切っても切れない行事と食べ物。第2巻では、全国のお祭りと食べ物についても紹介されています
特徴的なのは、全巻を通じ体験事例が豊富なこと。お雑煮やおはぎなど現代でも一般的に食されている食べ物のほか、縄文クッキーや戦国時代の武将が食べたという説のあるおにぎりなどの作り方、はたまた蕎麦の栽培事例までが掲載されています。
また、地味ながらご注目いただきたいのは、第5巻のデータブック。全都道府県の郷土料理を紹介した「全国食めぐり」と、農産物の統計や資料館を紹介した「食のデータベース」からなっています。各都道府県に必ず1ページを充て、数種類の郷土料理を紹介するだけでなく、そのような食文化が成立した地形や気候などの背景も丁寧に説明されています。
食の多様性について考えるページでは、加工食品の便利な点と問題点を指摘。第4巻では、給食や食の役割についてのほか、有機農法や遺伝子組み換えについても触れられています
各地の特産やそれぞれの時代で食べられていたものなどは、社会の授業で習うとついつい暗記に終始してしまいがちですが、『日本の「食」とくらし』のように「お国じまん」と思うと、グッと身近に感じられると思います。自分の住んでいる地域、おじいちゃん・おばあちゃんの住んでいる地域と、少しずつ興味を持つ範囲を広げていけるのではないでしょうか。
そもそも「食べること」は、子どもたちも大好き。ユネスコ無形文化遺産の登録や『日本の「食」とくらし』をきっかけに、そのおいしさの秘密や年中行事との関わりなど、和食の良さを伝えていけたらいいですね。
■農林水産省HP食文化のページはこちら。
■農林水産省作の和食のガイドブックはこちら。 分かりやすく、内容も充実しています!