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大リーグ挑戦へ優勝と2度目の沢村賞を狙う広島・前田

田中将大投手のメジャー行きが確定的となり、メジャー各球団の次なるターゲットとして広島・前田健太投手が浮上している。本人もメジャーへの強い思いを隠していないものの、まだ日本でやるべきことがあると考えているようだ。

瀬戸口 仁

執筆者:瀬戸口 仁

野球・メジャーリーグガイド

大リーグ挑戦のために、前田が設定した2つの目標とは

田中将大投手のメジャー行きが確定的となり、メジャー各球団の次なるターゲットとして広島・前田健太投手が浮上。

田中将大投手のメジャー行きが確定的となり、メジャー各球団の次なるターゲットとして広島・前田健太投手が浮上。

広島・前田健太投手(25)が1月6日、東京都内で本格的な自主トレを開始した。ランニングに加え、約80メートルの遠投を含む計40球のキャッチボールを行い、気持ちいい汗を流した。

昨シーズンは4年連続2ケタ勝利となる15勝をマークし、防御率2.10で、最優秀防御率のタイトルを2年続けて獲得した。何よりもエースとしてチームを16年ぶりのAクラス(3位)に導いたことが大きい。昨年12月10日に行われた契約更改では、7000万円増の2億8000万円でサインし、2007年の黒田博樹(現ヤンキース)の2億5000万円を超え、球団史上最高年俸となった。

前田の注目度は年々増しているのは間違いない。同学年の楽天・田中将大投手は新ポスティング・システムを使ってのメジャー行きが確定的となっているが、メジャー各球団の次なるターゲットは前田で一致している。評価を上げたのは、昨年3月に侍ジャパンの一員として出場したWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)だった。3試合合計15回を投げて2勝1敗、防御率0.80、18奪三振で大会ベストナインに選ばれた。この結果は、メジャーの評価を上げると同時に、前田の心にも火をつけた。それは「それなりの結果が出て、気持ちが強くなった部分はある。憧れがはっきりした」との言葉でわかる。

そして、前田は契約更改の席上、「自分の状態がいい時に行きたい。野球人生は一回しかない。絶対に後悔したくない」と、今オフにもポスティング・システムで米大リーグに挑戦する希望を球団側に伝えた。これに対し、鈴木球団本部長は「(制度を)利用する、しないは球団の判断」と慎重な姿勢を見せながらも、「彼なら通用する。挑戦することは素晴らしい。選手が挑戦したい気持ちもわかる」と理解を示したことで、が然、現実味を帯びてきたのだ。

しかし、話がそう甘くはないことも、前田は十分わかっている。そのため、大リーグ挑戦に向けて自分を鼓舞する2つの目標を設定した。1つはチームの1991年以来となるリーグ制覇、もう1つは2度目となる「沢村賞」の獲得だ。

沢村賞は2010年に15勝(8敗)、防御率2.21で初受賞したが、チームは5位に終わり、素直に喜べなかった。したがって、チームの優勝とは切り離して考えられない。

「2010年の沢村賞は狙っていたわけではないので、今年は目標にして取りたい。それには、全てにおいて圧倒的な数字を残さないといけない。もちろん、チーム全体で優勝に向かって頑張っていきたい」と前田は目を輝かす。その先にあるのは、メジャーのマウンドでの田中との初対決だ。
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