日本で最も上等な肉が集まるお店「吉澤」
「美味しい牛肉の最も大切なポイントは何ですか?」という質問を受けることがよくありますが、黒毛和牛に限っては、私のこれまでの探求の結果、次のような考えにたどりつきました。先ず大切なのは銘柄牛ではなく、生産者です。同じ銘柄牛でも生産者によって仔牛の血統の傾向や、餌、環境、肥育期間など重要な要素の内容がそれぞれ異なりますし、当然、志の高さも異なります。これはどんな一流企業においても、社員一人ひとり、能力や仕事への熱意が異なるのと同様です。ただ、牛も生き物ですから、どんなに優秀な生産者でも100頭いて100頭とも同じ仕上がりの牛を育てられるわけではありません。そこで消費者にとって、生産者よりもさらに重要になるのが仲買人の目利きになります。肉の品質へのこだわりの強いお店から価格重視の大衆的なお店まで様々ありますが、そのお店の特徴や要望にあった肉を納める仲買人の役割はとても重要です。どんな肉質の牛肉にも適材適所、必要としている店があり、適した調理法があり、それらがピッタリとかみ合ってはじめて、その肉が持つ最大のパフォーマンスを食べ手に感じさせることができるのではないでしょうか。
そこで今回は、最も目利きがよく、上物屋としても業界では有名な仲卸業者「吉澤畜産」が経営する銀座の老舗すき焼き店「吉澤」をご紹介させていただきます。
昭和2年創業の確かな品質
「吉澤」は、すき焼き、しゃぶしゃぶ店の他、精肉店も併設している老舗のお店ですが、同店の強みはなんといっても、肉の品質の良さにあります。それもそのはず、上物屋として有名な吉澤畜産が経営しているため、優先的に一番上等な肉が入ってくるわけです。また「吉澤」の肉が格別に美味しいのには、目利きのほかにももう一つ訳があります。それは独自で施している「枯らし」、いわゆる熟成です。この「枯らし」については以前「格之進R」の記事でご紹介させていただきましたのでそちらをご覧下さい。また併設の精肉店には技術の高い職人がいらっしゃるということも心強いですね。和風ローストビーフサラダ(とうがらし)
「吉澤」でおススメのメニューはやはり“すき焼き”です。梅、竹、松、特選と4段階ありますが、いずれも牛肉は部位の差で、肉質自体の品質は同様ですので予算に合わせて選択すればよいかと思います。因みにすき焼きの最後に供される吉澤特製しらたきは個性がありクセになる美味しさで、是非七味と一緒にお試し下さい。また、ランチメニューのすき焼鍋御膳(1575円)は、吉澤の味わいを気軽にお試しできるかなりお値打ちな商品となっており、こちらもおススメです。
ある志高い生産者を取材した際に、「吉澤畜産」に市場で競り落としてもらえることを目標に牛を育てているとも伺いました。いわば、生産者の拠りどころともなっているこの「吉澤」の存在は、これからも牛肉業界において重要な役割を果たしていくに違いありません。
同店で特に美味しい体験をした思い出の部位:とうがらしのローストビーフ、田村牧場(鳥取県)のサーロイン
■吉澤
・住所:東京都中央区銀座3丁目9番地19号
・TEL:03-3542-2981
・営業時間:
平日:【昼】11:00~14:00
【夜】17:00~22:00(LO21:00)
土曜:11:00~15:00(12月は夜も営業)
土曜日団体様応相談
・定休日:日曜日・祝日
・地図:Yahoo!地図情報