約十万人を動員!ザ・タイガース2013ツアー
12月27日、東京ドームでの公演をもって終了したザ・タイガース2013ツアー。ザ・タイガース2013
44年ぶりに沢田研二、岸部一徳、森本太郎、瞳みのる、加橋かつみのオリジナルメンバーが揃い、ラストの東京ドームでは体調不良をおして岸部四郎も出演した。
12月3日から丸一ヶ月、北海道から九州までドームを含めた8ヶ所の公演で、約十万人を動員したということだ。
呼称についておことわり
※と、こんなふうに書き出したが、以下のザ・タイガースメンバーに関する呼称はすべてニックネームとする。面識があったり、メンバーに近しい人も文中に登場するので敬称の有り無しの判断がややこしかったからである。
ちなみに各人のニックネームは
沢田研二=ジュリー、岸部一徳=サリー、森本太郎=タロー、瞳みのる=ピー、加橋かつみ=トッポ、岸部四郎=シロー
ファンの方にとっては今さらだろうが、グループサウンズ初心者の方はこの機会にぜひ憶えてみてほしい。
12月17日大阪・京セラドーム公演レポート
僕も12月17日に大阪・京セラドームの公演を観に行っていた。最寄の駅はもちろん、電車内から人酔いするほどの混雑。
しかし、ウキウキしながら「タイガース」、「ジュリー」とおしゃべりしているご婦人たちを見るのはそれなりにおつなものだ。
リンド&リンダース榊さん、楽屋からのLINE
到着して客席に着いていると、リンド&リンダースの榊テルオさんからLINEが入った。メッセージを開いてみると、そこにはなんとピーとテルオさんのツーショット。
榊さんとガイド・中将タカノリのライン
ピーはつい先日の『~加賀テツヤ 7回忌メモリアル~ ザ・リンド&リンダース ラストステージ』にもメッセージを寄せてくれたが、やはりデビュー前のナンバ一番時代以来の友情は今も続いているのだなぁと胸が熱くなった。
ほどなくしてテルオさんと客席で合流したが、この日テルオさんはリンドの宇野山和夫さん、ベイ・シティ・ローラーズのレスリー・マッコーエン(※奥さんが日本人でリンドのファンだったつながり)と共にザ・タイガースメンバーの楽屋を訪問していたとのこと。
ピーには会うなり帽子を取り上げられ「お前ハゲたな(笑)」といじられたということだった。
60歳過ぎてもみんなハートは少年だなぁ……
前半は洋楽ロックンロール、R&Bカバー
約三万人の観客が見つめる中、10分ほど遅れて開演。拍手と歓声の中、黒い詰襟のスーツに身をつつんだメンバーがステージに現れた。
一曲目は勢いよくデイヴ・クラーク・ファイブの『DO YOU LOVE ME』。
ジュリーのシャウトはもちろん、低音から高音までそろったコーラスワークはさすがの貫禄だ。
以降、ローリングストーンズの『SATISFACTION』、『TIME IS ON MY SIDE』、ビートルズの『NOWHEREMAN』などグループサウンズ時代に得意にしていた洋楽ナンバーが続く。
メンバーそれぞれリードボーカル曲をとって、踊って跳ねて力いっぱいのステージングだ。
ピーの、ブランクを感じさせない派手なドラムが光る。
当時、ジャズ喫茶やコンサート会場でライブを体験していた層にとって、グループサウンズの記憶はこういったロックンロールやR&Bのカバー抜きには語られないだろう。
あえて前半に洋楽ナンバーを固めてきたのは、もちろんメンバーの趣向もあるだろうが、45年間のあの時代にタイガースを現場で支えてくれた元・グルーピー少女達に対するお礼の印なのかも知れないなと感じた。サリーの「ナンバ一番でやっていたのが、その後それぞれ別な事をやり、今また一緒にこんな大きな所でできるのは奇跡です。音楽少年に戻って楽しみます。」というMCがとても印象的だった。
後半 怒涛のオリジナルヒット曲
『UNDER MY THUMB』で前半が終わると、30分の休憩をはさんで後半のステージ。今度は色違いの白のスーツを身にまとい、オリジナル曲を歌い上げてゆく。
ザ・タイガースと言えば白
『シー・サイド・バウンド』、『君だけに愛を』などグループサウンズ時代のヒット曲ではジュリーの振り付けに合わせて京セラドームに割れんばかりの黄色い歓声が響く。
70歳に手の届く年齢になってもザ・タイガースが"GSの貴公子"であることは変わりようの無い事実なのだ。
やっと聴けた『十年ロマンス』、『色つきの女でいてくれよ』
また、僕にとって印象的だったのは『十年ロマンス』、『色つきの女でいてくれよ』など1980年代前半に、ピー以外のメンバーが結集した"ザ・タイガース同窓会"期のナンバー。これらの曲の魅力はジュリーとトッポの絡み合うツインリードボーカル。
2011年の"ほぼタイガース"ツアーの際は披露されなかったが、今回はトッポが参加しているのでじっくりと堪能できる。
泣けるくらいにザ・タイガース。
ジュリーはずいぶん声が太くなっているし、トッポも高音や音程がかなり怪しくなっているとは言え、だ。
ザ・タイガースの魅力
ザ・タイガースは元来、けっして演奏の上手なバンドではない。むしろ、ギターのトチりの多さやもたつき加減などガレージロック感満載なのだが、個々の歌いっぷり、演奏っぷりはなんとも癖になる魅力があり、全員揃うとどういうわけだか一級品のバンドとして成立してしまうのだ。
"センスが違う"と言ってしまうのはあまりに乱暴だろうか。
そのセンスが今も変わっていないことがしっかり確認でき、非常に満足のいく再結成ライブだった。
ありがとう、ザ・タイガース!
ザ・タイガースの今後
「今後もたまに集まれたら」、「二度とない」など、各メンバーの発言はまちまちだ。トッポは相変わらず気難しいし。
しかし、ザ・タイガースは貴重な全員生存グループサウンズ。
せめて節目節目だけでもいいから集まってライブにテレビに活躍して欲しいと願うのは僕だけではないはずだ。
シローの完全復活への期待もある。
今回のツアーが再結成の一ページ目になることを祈りつつ僕の文筆業2013を締めくくりたい。