売り上げ1位も出し、ますます注目のタワー・オリジナル企画
さて、先に記しましたが、タワーレコードさんは今やCDを売るだけではなく、レーベルに掛け合い、発売されていない盤を比較的安価で売る「タワー・オリジナル企画」を行い、1位となったギーレンのディスクを出すなど、注目の盤を続々リリースしています。その点も尋ねてみました。大:タワー企画もますます充実してきましたね。
北:ありがとうございます。2013年は過去最多枚数の145タイトルを出しました。
大:え、そんなに! すごい数ですね! 2、3日に1枚という(笑)。タワー企画は期間限定発売ではないのですよね?
北:はい、一部限定のものもありますが、基本的にはずっと売っています。目的としては、全国の店舗でクラシックのCDを置いていますので、その棚にいつでもあって、いつでも買える定盤を作りたいんですよね。そうしたシリーズ作りです。
大:なるほど。クラシックをこれから聴こう、という方も多いオールアバウト読者にオススメはございますか?
北:そうですね、2013年は、コロムビアさんと組んだコンサート・ホール・ソサエティ(かつて人気のあったレコード通販会社)の音を良くした原盤シリーズが人気で、その中でも、気品ある演奏で“チェロの貴公子”と呼ばれたフルニエによる小品集がオススメです。
大:サン・サーンスの白鳥などのチェロの名曲やバッハのG線上のアリアなどクラシックの名曲が収められているのですね。
北:はい。録音自体、今は絶対にこういう録り方はしない、という、マイクがやけにチェロに近い録り方なんですよ。フルニエの音を間近で聴いているようで、細かいニュアンスも聴こえるんですよね。まるで指先まで見えるかのような。偉大なチェリストだったんだな、と思いました。
大:小品集なのに伴奏はピアノじゃなくてオーケストラなんですか?
北:オーケストラ伴奏のものとピアノ伴奏のものがあります。オーケストラ伴奏は、珍しいですよね。今はやらないですよね、贅沢で貴重な録音だと思います。
大:おー、それは良さそうですね。
北:あとは、壮麗な演奏で「フィラデルフィア・サウンド」と呼ばれ崇敬を集めたオーマンディ指揮の演奏、日本を代表する重鎮指揮者だった朝比奈隆が初めて録音したベートーヴェンの交響曲全集も、悠然とした中に勢いも感じられ良いですよ。それと、レアなのはゴジラのテーマで有名な日本を代表する作曲家、伊福部昭(いふくべ・あきら)の舞踏曲「サロメ」とか。
大:なんと、有名なR.シュトラウスの「サロメ」じゃなくて伊福部昭の「サロメ」ですか!(笑)
北:そうなんです(笑)。2014年が伊福部さんの生誕100年の年ということもあり出しました。大作で、日本人が作った誇るべきサロメだと思います。R.シュトラウス作と比べてもとても面白いですよ。
大:面白そう(笑)。2014年も、古いのに新たな発見のあるCDのリリースを楽しみにしています。
※フルニエや伊福部昭を含む、タワー・オリジナル企画盤の2013年の売り上げTOP20は2014年1月13日(月)まで10%オフで販売されるそうです。
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というわけで、実際に人気の録音を中心に、今注目すべき演奏家、録音についてお話させていただきました。素晴らしい演奏を聴くだけでなく、同じくクラシック好きの人とアルバムについてアレコレ話すことの楽しみも伝えられればと思い、このような対談形式で記事にしてみました。2014年も素敵な演奏を聴き、より多くの方とお話できればと思っております。
2014年もどうぞよろしくお願いいたします。