戸別所得補償制度の問題点・疑問点
他の多くの政策がそうであるように、戸別所得補償制度にも、まだ問題点や疑問点が残っています。最大の問題は、財源。民主党はマニフェストで2011年度に1兆円を使って、戸別所得補償制度を完全実行(米以外の農家にも適用)すると述べています。2010年度、米作農家に適用するために、すでに5618億円の予算が確保されました。
しかし、不況で国債発行が急増しているこの状況で、この莫大なお金は将来の借金として日本に残るだけなのでないか?という疑問が残ります。
次の疑問点は、所得を補償したら本来個人や企業が自己責任で行っていくはずの市場経済のルールに違反しているように思われる点です。経営が上手くいかなかったら倒産するからこそ、頑張って生産性を向上しようという努力にもつながります。何もしなくても生活が保障されていると、生産意欲を削ぐことにもつながりかねません。
そして、今回の制度は専業農家・兼業農家ともに適用されます。そのため、農業収入がそれほど大きな割合ではない兼業農家にも適用され、本来農業を担っている専業農家との扱いに違いがありません。本当に農業を保護するためなら、農業の担い手である専業農家を優先して保護するべきなのではないか、という声もあります。