衣服を身につけたペットの遺体が散乱

動物供養の歴史は古く、全国に家畜の塚、墓、慰霊碑などが点在しています。縄文時代の遺跡では、人骨と一緒に埋葬された犬の骨も発見されています。

動物供養の歴史は古く、全国に家畜の塚、墓、慰霊碑などが点在しています。縄文時代の遺跡では、人骨と一緒に埋葬された犬の骨も発見されています

犬や猫の遺体が、埼玉県飯能市正丸峠付近の崖下で発見されたというニュースが流れました。その遺体の数は約100匹分(後にさらに80匹分の遺体が発見)。衣服を身に付けた状態だったり、折鶴や花が供えられていた痕跡があることから、自宅で飼われていたペットが亡くなり、ペット葬祭業者へ引き取られた後に不法投棄されたとものではないかと推測。捜査の結果、ペット葬祭業者を経営した男性が廃棄物処理法違反の容疑で逮捕されました。

この男性、火葬炉完備を謳っていながら、火葬炉を保有せず中間マージンでペット葬祭業者を運営していたと見られています。しかし、経営の行き詰まりで数年ほど前から依頼主には火葬をしたと偽って別の動物の骨を渡し、預かった遺体は山中に不法投棄していた模様です。

ペット葬祭業者は増加

ひと昔前までは、ペットが亡くなると自宅の庭などに埋葬するか、自治体に依頼して廃棄物もしくは動物専用焼却炉での火葬が一般的でした。しかし近年は埋葬できる場所の確保が困難になったことに加え、90年代からのペットブームがペットの家族化を加速させ、ペット火葬・埋葬を行う民間業者が増えてきました。

ペット葬祭業者には、固定火葬炉を保有している事業者と、移動火葬車を利用した訪問火葬サービスを行っている事業者があります。固定火葬炉の場合は合同火葬、個別火葬(立会あり、なし)などコースの選択肢があり、中にはペット霊園を併設し火葬・埋葬トータルサービスを提案している業者も多いようです。しかし、時間が限られたり土日は混雑するなどの理由からスケジュールが立てにくいことがあります。

移動火葬車の場合は、家の近所まで火葬車が来るので最後まで家でゆっくりとお別れができ、また夜間対応が可能なため、家族が集まりやすいというメリットがあります。一方で、固定火葬炉に比べて初期投資が少ないことから参入者が増加し業者の質にばらつきがあります。


健全化へ向けて

ペット葬祭事業については、運営基準などが省庁から示されていないうえ、一部自治体を除いて法的整備が十分になされていないため、飼い主とのトラブル、自治体と住人とのトラブルなどが多数報告されています。業界内では5年ほど前より「動物霊園協会」「全国ペット葬祭業協会」「日本ペット訪問火葬協会」などの団体が相次いで設立され、社会的認知度アップと健全化を目的として活動しています。最近では悪質業者は淘汰され、サービスの質も随分向上した印象がありますが、それでも未加盟の事業者が多く、業界の健全化は発展途上の段階にあるといえるでしょう。

ペットの死は家族にとって単なる動物の死ではなく、家族の死に等しいものです。人間の死と同じようにグリーフワーク(悲嘆を癒す作業)が課せられ、頭痛、めまい、食欲不振などの身体的症状や、不安、うつ、罪悪感といった精神的症状が現れます。これらの症状はペットロス症候群と言われていますが、近年ではペットロスに対する関心が高まり、ペットを亡くした飼い主へのサポート体制を確立していこうと考えるペット葬祭業者が増えています。

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