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2014年ビジネス誌の特集に見る不動産市況予想

書店をのぞくと、メジャービジネス誌である「週刊東洋経済」「週刊ダイヤモンド」の2誌がそれぞれ不動産特集でした(「週刊ダイヤモンド」は別冊にて)。さて、2014年の不動産業界はどうなのか?それぞれの新春合併号に記載された不動産業界の展望も合せて簡単にご紹介します。

田中 和彦

執筆者:田中 和彦

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この手の雑誌に不動産の特集が組まれるという事は、それだけ不動産に対する世間の注目が増しているという事。言い換えれば「もしかしたら不動産は上がるんじゃないの??」と思い始めている人が増えているとも考えられます。そこで、不動産特集を組んでいた「週刊東洋経済」「週刊ダイヤモンド」の2誌を読み比べ、ついでに年末年始合併号に書かれていた「不動産業界の展望」も参考に、今後のマンション相場の展望を見てみる事にしました。

少し突っ込み不足~週刊ダイヤモンド

「週刊ダイヤモンド」新年合併特大号の特集は「2014→2020年総予測」。75個のテーマについて将来予測がなされており、「ゼネコン・不動産」の予測もありました。五輪施設関連の建設投資、それに付随してのインフラ整備、例えば成田空港と羽田空港を結ぶ「成羽線」整備、山手線30個目の駅となる新駅構想等で建設需要が増すが、ゼネコン業界は職人や設備を減らしてきたため対応しきれない状態となっていて、人件費や資材費の高騰と合せ、14年は建築費高騰によるマンション等の実質値上げが広がりそうだ、という予測です。

五輪景気に結びつけるロジックはわかるのですが、数字の裏付けが少なく、少し説得力にかけるように思えます。

建築費高騰に説得力~週刊東洋経済

一方「週刊東洋経済」での2014年不動産市況の展望は具体的で説得力があります。建築費の高騰については「1~2年前なら1戸1700~1800万円で建設できていたものが。今では2100万~2200万円する」とリアルな数字が目に入ります。五輪景気との関連についても、「国土強靭化や東京オリンピックを受けて、公共工事が腐るほど控える中、わざわざ割の合わないマンションを手掛ける理由はない。」とはぎれのよい答えです。

東京があがる、マンションがあがる!

「週刊東洋経済」の1/11号の見出しは「不動産 動き出す!」。「トーキョーを買え!」と「どうなるマンション市場」のテーマが取り上げられています。

「トーキョーを買え!」では、国際的に見て東京の不動産は「お買い得」であり、海外から資金が集まってきている現状を説明しています。12年から13年にかけての不動産売買高の急激な増加(約2兆円から約4兆円)、海外投資家比率の増加(10%程度に倍増)、東京の地価が5年ぶりプラスに、等々の数字が表やグラフで説明されており、大変に説得力があります。この表やグラフを見るにあたっては「不動産キタ~!」と感じざるを得ません。

「どうなるマンション市場」でも不動産の値上がりが語られています。首都圏マンションの販売単価上昇や大阪での都心物件の好調さがそれを裏付けます。「販売価格はまだ上がる」と書かれていますが、そちらについては、価格が上がる直接の原因が建築コスト高。需要に裏付けられたものではなく、あまり嬉しくありません。

不動産、黄金の7年間が来る!

最後は「週刊ダイヤモンド」の「購入最新ガイド」。ページの半分は物件紹介。現在売り出されている新築マンションを俯瞰するには良いでしょう。トレンドがつかめます。また仕様設備でグレードを見分けるコツや業界人の覆面座談会による販売の裏事情など、実際にこれからマンションを検討する人にはすぐに役立つ内容です。

特集記事の冒頭は「マンションは10年で買い替えなさい」の著者 沖有人さんの「2020年まで不動産価格は高止まりする」宣言から始まります。日銀短観の金融機関の貸出態度(不動産)と不動産価格との間に0.93の高い相関があり、この「貸出態度」が2013年に入って急激に改善をしているとの事。東京五輪景気、建築費の高騰、外資マネーの流入等いろいろな「不動産価格上昇」要素があげられましたが、それらの確からしさを裏付ける見方です。

他にも「不動産業の逆襲、黄金の7年間の到来」(不動産経済研究所社長・高橋幸男さん)といった、不動産業界の人に取って涙が出てくるような言葉もありました。

上昇基調は間違いなさそうな新築マンション市場

2社4誌の不動産記事をざっと読んでまとめての感想。2020年の東京五輪まであがるかどうかはわかりませんが、少なくとも今年一年は強気の相場、上昇基調。既存の販売物件や販売予定物件の次に控えるものは値上がりする可能性が高そうです。「消費税増税前の駆け込み」といった目先の要素ではないもっと大きな視点での「上昇要素」が数多くあります。これからマンション購入を検討する人にとっては、良い材料といえるでしょう。

※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。

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