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住宅業界の動向 2013年の振り返りと2014年の展望(2ページ目)

消費増税8%へのアップに振り回された2013年が過ぎ、2014年が間もなくスタートしようとしています。では、住宅取得に向けどんな1年になるのでしょうか。そこで今回は住宅業界のこの1年の振り返りと、来年のポイントについて書いてみました。

田中 直輝

執筆者:田中 直輝

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2013年の最も大きな話題の一つに、2020年東京五輪の開催決定があると思います。実はこのニュース、これからの住宅取得に対して結構強い関連があります。というのは、五輪開催にあたり住宅取得の環境が厳しくなることが予想されるからです。具体的には、それは住宅の施工費用の部分に表れてきます。

東京五輪を前に住宅取得が困難になる状況も

実は東日本大震災以降、職人さん、大工さんの確保が非常に厳しい状況で、その結果、施工を行うための人件費、材料費が上昇傾向にありました。ですから、復興にあたっての住宅需要の本格化に加え、五輪関連施設の建設需要が高まることで、状況はさらに厳しさを増すことが確実視されているわけです。

大工さん

2020年の東京五輪開催に向け、大工さんや職人さんの人件費や材料費が高騰し、住宅取得が難しくなるという懸念がある。「だから早めに」というのも一つの考え方

最近このことが改めて注目され、だから「今が住宅取得のベストタイミング」などとよく言われるようになっています。2014年はその五輪関連の影響はまだ少ないはずですから、それもうなずける話。検討材料の一つと認識されるべきではあるでしょう。

と、このように住宅市場を巡る今後の環境は、決して楽観視できるものではないのです。特に我が国は急速な少子高齢化社会の到来という避けがたい大問題を抱えており、それは住宅需要の減少を招くことが確実視されています。要は消費税問題以外にも数多くの問題があるということで、住宅供給者は様々な対応を迫られるということです。

ですが、そうした状況下にあるからこそ、住宅に関連する商品やサービスなどに新たな展開が期待できるということがいえると思います。現に前回の消費税率アップ時やリーマンショックの際には、そうした動きが各方面で見られました。例えば、前回の消費税アップ時の産物として、「ローコスト住宅」が市場に登場しました。

「坪単価25万円台~」などという住宅商品のことをいいます。その是非について様々な意見があることは承知していますが、「住宅を意外に安く手に入れられるのでは」という認識を、私たち消費者の中に広く定着させた事実は見逃せません。

そして、そのことは「住まいってもっと様々な選択肢があっていいじゃない」という柔軟な考え方を私たち消費者に定着させたということも指摘できるかもしれません。つまり、新築の戸建てやマンションにこだわらず、リフォームをしたり、ストック(中古)住宅の購入をより前向きにとらえる価値観の変化につながったと思われます。

今後は住まいのあり方がより多様化する時代に

開発中の分譲住宅地

2014年はハウスメーカー各社による分譲住宅の供給が増えることが予想される。より良い住宅の取得に向け質や内容などをしっかりと吟味し、検討したいものだ

現にリフォームの市場規模は10年前と比べ大きく伸びています。また、住宅を取得することに執着せずに「一生賃貸住宅でも構わない」という人たちさえ増えています。これは「住宅すごろく」的な「最後は持ち家」という考え方から、ライフスタイルに合わせて住まいを選択するという柔軟な考え方に変わってきているからだと考えられます。

このような前提の上で2014年の住宅、住まいのトレンドを考えていくと、一つは住まいの多様化がより進行していく1年になるといえそうです。例えば先日、私は積水ハウスによるサービス付き高齢者住宅の取材をしてきましたが、そのような住まいが今後は増えていくでしょう。急速に進む高齢化に対応する「終の棲家」の一つのかたちです。

では、持ち家、注文住宅の分野でのトレンドはどうなるのでしょう。一つは2011年の東日本大震災以降続いているスマートハウスを代表する省エネ重視の傾向は確実に引き継がれると思います。より省エネ性の高い商品の登場はもちろん、「スマートタウン」の拡大など分譲住宅の分野にもその影響が広がると考えられます。

もう一つは、ローコスト住宅と高付加価値住宅の二極化が顕著になると思います。後者についてはスマートハウスなど省エネ化にからむ話ですが、後者は経済状況が難しくなる中で改めてクローズアップされることでしょう。

私たち消費者は、イニシャルコスト(住宅取得時のコスト)とライフサイクルコスト(住宅の生涯コスト)のバランス、そのどちらを重視すべきなのか、これまで以上に慎重な検討が求められそうです。
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