5位『まほろ駅前番外地』
70年代のヒット作、萩原健一・水谷豊の『傷だらけの天使』と松田優作の『探偵物語』。この二つの雰囲気を現代によみがえらせる、という触れ込みのドラマは過去に何度も聞いたことがありますが、時代背景の違いによるものか、復活した試しがありません。今年でも、優作次男の松田翔太主演『潜入探偵トカゲ』もそれを標榜していましたが結果としてはだいぶ違ったものになっていました。しかし瑛太と優作長男の松田龍平のコンビでついにやりました。ポイントとしては『傷だらけの天使』が修と亨が身体をはって最後はタイトル通り、精神的に傷ついてしまうのに対して、『まほろ駅前番外地』の多田と行天はそこまで踏み込まずふわふわと生きているように変えて現代にマッチさせたことでしょうか。
原作のシリーズはまだ三作目『まほろ駅前狂想曲』が残っているので、ぜひ制作して欲しいところです。映画でもいいですけど、ドラマと同じ大根仁監督で。
次は『まほろ駅前番外地』9,10話のゲスト、刈谷友衣子主演の単発ドラマです。
4位『ラジオ』
宮城県女川町を舞台に、震災後引きこもっていた「某ちゃん」がコミュニティFMとブログを通して自分を取り戻す姿を描きます。ブログに書かれている某ちゃんの言葉が、演じる刈谷友衣子により血肉化し、地元の人たちのナマの感情としてつたわってきます。なぜ「某ちゃん」なのかということを回答したラストも納得させられます。脚本の一色伸幸によると「映画にしてほしかった、という感想が多かったけど、深刻な土地ほど映画館なんかないから地上波以外は考えなかった」とのこと。「ラジオ」の役割だけでなく「テレビ」の役割についても考えられていたんですね。
また昨年はあまり表にでてきませんでしたが、今年は『あまちゃん』はもちろん現在の朝ドラ『ごちそうさん』も関東大震災を通して描こうしているなど、「震災の影響」というテーマが積極的に取り上げられています。
そういえば第3位のドラマも結婚のきっかけが震災でした。
3位『最高の離婚』
瑛太主演の二作目。それぞれに個性的な二組の夫婦の意見や性格の違いからくるぶつかり合い、すれ違い、痴話げんかをひたすら描く会話劇。
第一話の終わりにいきなり離婚届が提出されるのは衝撃的ですが、全体にそれほど大きな事件もおきず、二組の夫婦が最後にどうなるかだけで引っ張っていくのはよく練れた脚本と俳優陣の達者さによります。
特に主人公・光生の瑛太らしからぬ残念な男ぶりが見もの。妻・結夏(尾野真千子)のガサツさが不満で元カノ・灯里(真木)にグチるけど、つきあっていたころに灯里の好きなジュディマリの曲をバカにするなど無神経なことをしていて、灯里に「死ねばいいのに」と思っていたと言われてしまったり。
そうそう!と思うところもグサッとくるところもある、男も女も共感できるドラマでした。
ちなみに2014年2月に二組の夫婦たちの一年後を描く『最高の離婚Special2014』が放送されます。キーワードは初恋、子ども、そしてとんでもない試練……とか。
さて、残るは1位と2位。今年はよほどスカした評価でない限り『あまちゃん』と『半沢直樹』のワンツーなのは間違いない。さてどっちを1位にするか?有力候補をすべて大賞にした新語・流行語大賞と違って、ちゃんと決着をつけます!
次は「どっちだ?」