株主優待はとてもうれしい……が
最近、注目されている人に、株主優待だけでほとんど暮らしている人がいます。株主優待とは、企業が特定の条件に合致した株主(例えば100株持っている株主など)について、何らかの優待を提供するものです。たとえばその会社の商品に関する割引券だったり、商品一式だったりします。カゴメなら新商品詰め合わせ、マクドナルドなら商品引換券、というような感じです。金銭的価値も様々で、株の時価からすると、1%以上になることも珍しくありません。もし、年2回届いたとすれば、年2%相当の商品をもらえたことになり、定期預金よりもおいしい話になります。
株主優待はとてもうれしいものです。企業を応援するつもりで株主になると、さらにおみやげがもらえる気分になりますから、これをすすめるFPもたくさんいます。毎月、権利確定日(この日まで株を持っていると株主優待がもらえる)が到来する企業とその株主優待を紹介する雑誌もあります。
しかし「3分間マネーハック」としては、誰もが当たり前に思っている常識的価値観について「異議あり!」を唱えてみたいと思います。
つまり「株主優待目当ての資産運用はちょっと危ない!」ということです。理由は3つあります。
株主優待ねらいの投資、危険なポイント
(理由1)買う対象が偏る株主優待目当ての投資が一番よくないと考えるのは「自分に実利のある会社しか投資しない」ということになるからです。原材料を取り扱う会社、製作機械の基幹部品を扱い世界的シェアをもつ会社などは、個人投資家に株主優待したくてもなかなかあげられるものがありません。どんな精密なものでもネジを送られても困ってしまいますよね。(ときどき、個人投資家に配慮して本業とまったく関係のない食べ物等を送る会社がありますが、これはむしろ本末転倒だと思います)
株主優待のように実利がある会社だけ選んで投資をしていると、投資対象が日常生活に近い会社、具体的にはメーカーか小売業に偏ってしまいがちになります。
東京証券取引所には1700社以上の企業が上場していますが(一部上場企業)、おそらく知らない会社のほうが多いはずです。世の中にはたくさんの優秀な会社がありますし、いろんな会社・業種に投資したほうがリスクも分散されることになりますが、リスク管理の観点からもあまりよくない方向性です。
「自分が顔なじみ」の会社だけを選んでしまうことで、偏りを作ってしまうことにはもっと留意すべきだと思います。