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日本の学力が完全復活するまで(PISA2012)

経済協力開発機構(OECD)が、世界65カ国の国と地域の15歳を対象に行った国際学習到達度評価(PISA)の2012年版の結果が発表されました。「ゆとり教育」開始直後の2003年の調査で順位が急落した「PISAショック」を機に、「脱ゆとり教育」へと方針転換。気になる結果は?

伊藤 敏雄

執筆者:伊藤 敏雄

学習・受験ガイド

3領域すべてで学力向上

国際学習到達度評価(PISA)の2012年版の結果は、日本の平均点は、「読解力」は538点(前回520点)で4位(前回8位)、「数学的リテラシー」は539点(529点)で7位(9位)、「科学的リテラシー」は547点(539点)で4位(5位)といずれも上昇しました。
PISA2000から2012までの日本の3領域の得点の変化。

PISA2000から2012までの日本の3領域の得点の変化。

「ゆとり教育」開始直後の2003年と、その次の2006年の調査では、3分野すべてで順位を落としましたが、「脱ゆとり教育」へと方針転換されたことが功を奏し、2009年には見事にV字回復。

2011年(中学は2012年)からは、「脱ゆとり色」が一層強くなった新しい指導要領が始まったこともあり、特に読解力が、前々回の498点から40点も上昇、過去最高となりました。他にも、数学的リテラシーと科学的リテラシーも、2003年の水準に戻りつつあり、日本の学力は完全に復活したと言っても過言ではないでしょう。


できる子が増え、できない子が減った

もう少し詳しく見てみましょう。数学的リテラシーの習熟レベル別生徒の割合は、2006年以降、十分優秀と考えられる「レベル5以上」が増えています(2006年が18%、2009年が21%、2012年が24%)。一方、数学的リテラシーが劣る「レベル1以下」の割合は、2006年の13%から、12%(2009年)、11%(2012年)と少しずつですが減っています。つまり、できる子が増えてできない子が減っているのです。
PISA数学的リテラシーの習熟度レベル別割合の変化。

PISA数学的リテラシーの習熟度レベル別割合の変化。


同じく読解力を見てみましょう。こちらは2009年から「レベル5以上」の割合が増え始め、今回の2012年の結果では18%と、2006年の9%から倍増しています。一方で、読解力が不十分であるとされる「レベル1以下」の割合は、2003年の19%を最高に、18%(2006年)、14%(2009年)、10%(2012年)と着実に減っています。
PISA読解力の習熟度レベル別割合の変化。

PISA読解力の習熟度レベル別割合の変化。


科学的リテラシーも同様に、「レベル5以上」の割合が増えており、一方で、「レベル1以下」の割合は減っています。
PISA科学的リテラシーの習熟度レベル別割合の変化。

PISA科学的リテラシーの習熟度レベル別割合の変化。


以上のように、ようやく2004年の「PISAショック」以前の水準に戻ったのです。

次のページでは、上位10カ国を見てみます。
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