20世紀型最高峰として記憶に、21世紀の歴史には名を残す
2013-2014日本カー・オブ・ザ・イヤー(COTY)を、輸入車として初めてVWゴルフが獲得した。国産輸入の分け隔てなくイヤーカーを選出するようになって初めての快挙であり、こと20世紀的な自動車という意味において、VWに代表されるドイツ車の優位が際立った年になったと言っていい。逆にいうと、日本車の地盤沈下が甚だしい、と捉えることもできる。テクノロジー面ではさほど差がないはず、なのに、できあがったクルマはといえば、ひと味もふた味も薄い。それだけ日本人がクルマの運転に対して、積極性を失ってしまっているのではないだろうか。日本の国土環境文化伝統を考えれば不思議ではないのだけれど、いちクルマ運転好きの日本人としては、何とも口惜しいハナシである。
それはともかく、ボクのCOTYは、以下のような配点だった。念のためにCOTY選出の仕組みを簡単に記しておくと、あらかじめノミネートされた新型車の中から選考委員60名によって10台のクルマ=10ベストカーを選び、最終選考ではそのうちの5台に各自持ち点25点を分配する。その際、必ず1台に最高点10点を配分しなければならず、その他は自由配点となる。もちろん合計点数の多いクルマがイヤーカーとなる。
西川の配点は、
メルセデスベンツSクラス 10点
VWゴルフ 9点
ホンダフィット 4点
ボルボV40 1点
マツダアテンザ 1点
だった。この点数自体、SクラスがV40の10倍良かった、ということを意味するわけではないことに留意されたい。また、点数を配しなかったミニペースマンやフィアットパンダが0点のクルマ、というわけでもない。言ってみれば、10ベストカーに選ばれた時点で、そのクルマの評価は90点以上であり、そこに各人が加点して、100点満点中の何点になるかを表明しているに過ぎない。だから、正確には、
Sクラス 100点
ゴルフ 99点
フィット 94点
V40 91点
アテンザ 91点
というわけだ。
輸入車に関していえば、今年登場したクルマの中で、10ベストには選出されなかったけれども、個人的に90点以上のクルマは沢山ある。
たとえば、フォードフォーカスはゴルフ級の乗り味で96点くらいの価値はあるし、アウディA3に至ってはゴルフより上質な面もあるくらいだから97点をあげていい。ポルシェケイマンの楽しさは100点級だったし、ジャガーFタイプやレンジローバーにも95点以上を差し上げたい。
要するに、2013年の輸入車も豊作であったということ、だ。そして、なかでもボクが10点を投じたSクラスは、20世紀型自動車の最高峰として記憶されるにふさわしく、またオートノマスをメルセデスが視野に入れた最初のクルマとして21世紀の歴史にも名を残すクルマになると思う。
ロングのボディサイズは全長5250mm×全幅1900mm×全高1495mm、ホイールベースは3165mm。アルミニウムを50%以上使用したアルミニウムハイブリッドボディシェルを用いることで旧型比100kgの軽量化を実現。ねじれ剛性も約50%高めた