グレードで価格差約3倍、選ぶのが楽しいNo.1モデル

メルセデス・ベンツC180アバンギャルド

国内ではセダンが2014年7月、ステーションワゴンが10月に、「アジリティ&インテリジェンス」をコンセプトにモデルチェンジ。サスペンションはセレクティブダンピングシステムを備えたアジリティコントロールサスペンション、よりハードなセッティングとしたスポーツサスペンション、エアスプリングと連続可変ダンパーを電子制御するエアサスペンションを用意する


メルセデス・ベンツは2015年、世界で約187万台を販売した。史上最高の成績だったらしい。それはともかく、そのうち44万台強を占め、モデル別で最多販売台数を記録したのが、今回取り上げるCクラスだ。世界で売れた新車のベンツのうち、実に1/4がCクラスだったというわけになる。

型式名W205の第4世代Cクラスは、2014年にデトロイトショーでデビュー。当初の日本仕様は1.6Lと2Lのいずれも直噴直4ターボエンジンを積んだC180(1.6L)、C200とC250(2.0L)のセダンのみという設定だったが、その後、パワートレインのバリエーションは増え続け、さらにステーションワゴンやクーペまで加わった。アシの仕組みもグレードによって様々。さすが世界No.1人気モデルというだけあって、バリエーション豊富な一大派閥となっている。

最も値段の安いグレードC180(受注生産)と、最も高いAMG C63Sとでは、ほとんど3倍の価格差があるから、それだけユーザーにとっては、選ぶのが大変(そして、楽しい!)なモデル、といえるかも知れない。

メルセデス・ベンツC200ステーションワゴン スポーツ

セダンとグレード構成を基本同じくするステーションワゴン。ラゲージ容量は通常470L、後席を倒せば最大1490Lと旧型より20~25L広くなっている


ちなみに、セダンとステーションワゴンは同じグレード展開となっているから、好みや用途に併せてどちらかのボディタイプを選び、予算と目的に応じてパワートレインを組み合わせればいい。けれどもクーペには、180とAMG63、つまりCクラスの誇る幅広いラインナップのなかでもその両極端のみが日本仕様のグレードとして設定されている。今のところ、クーペに限っていうと、選択の余地はさほど大きくない。

メルセデスAMG C63S

国内では2015年5月に登場した、ハイパフォーマンスモデルのメルセデスAMG C63&C63S。メルセデスAMG GTと基本設計を同じくする新開発4LV8直噴ツインターボを搭載する


Cクラスに積まれているパワートレインを、廉価なものから順に見やすくまとめておこう。

※C450 AMG 4MATICはメルセデスAMG C43 4MATICへと名称を変更。
※取材時はC450のため、写真と文中ではC450で表記しています。

  • C180(セダン427万~476万円 ワゴン 451万~584万円)1.6L直4ガソリンターボ 156ps 250Nm 7AT FR
  • C200(534万円 570万~654万円)2L直4ガソリンターボ 184ps 300Nm 7AT FR
  • C220d(559万円 595万~679万円)2.2L直4ディーゼルターボ 170ps 400Nm 9AT FR
  • C250(657万円 738万円)2L直4ガソリンターボ 211ps 350Nm 7AT FR
  • C350e(707万円 782万円)2L直4ガソリンターボ+モーター 279ps 600Nm 7AT FR
  • C450(863万円 943万円)3LV6ガソリンツインターボ 367ps 520Nm 7AT 4WD
  • C63(1195万円 1275万円)4LV8ガソリンツインターボ 476ps 650Nm 7AT FR
  • C63S(1325万円 1405万円)4LV8ガソリンツインターボ 510ps 700Nm 7AT FR

メルセデス・ベンツC180アバンギャルド

セダンのボディサイズは4690mm×全幅1810mm×全高1435mm、ホイールベース2840mm(C180アバンギャルド)

メルセデス・ベンツC200ステーションワゴン スポーツ

ステーションワゴンのボディサイズは全長4730mm×全幅1810mm×全高1450mm(C200スポーツ)


ベストチョイスはC180。好き者向けには……?

メルセデス・ベンツC180アバンギャルド

ボディシェルにアルミニウムを約50%使用する軽量高剛性アルミニウムハイブリッドボディを採用。ホワイトボディで旧型比約70kg(ワゴン 75kg)の軽量化を実現した。ドアやボンネットなど外板の大半にアルミニウムが用いられている

メルセデス・ベンツC180アバンギャルド

ダイヤルに加えタッチパッドを備えたコマンドシステムを標準装備。安全運転支援システム(インテリジェントドライブ)も充実。ブレーキアシスト、レーンキーピングアシスト、ハイビームアシスト・プラスなどを備える


さて、多くのユーザーにとって、C180がベストチョイスであることは論を待たない。何といっても500万円以内に収まりつつ、それでいてCクラスの地力の強さはまるで損なわれていない。つまり、コストパフォーマンスが高い。

確かに、C200とその場で比べることができたなら、中間加速や乗り心地質感といった点で、C180の“薄味”が目立ってしまうだろうが、逆に言えば、そうでもしない限り判らないぐらいの差しかないわけで、Cクラスの基本性能は非常に高いレベルにあると言っていい。

大多数にとってのベストチョイスはC180。それを前提にしながら、「いや、そうは言ってももう少し高いグレードに乗りたいんだよな」、という好き者向けに、上級グレードの比較を簡単に記しておこう。

欧州車好きにアピールするのは、ディーゼルターボの220dだろう。下から3番目にリーズナブルな価格のグレードであるにも関わらず、実用トルクは強大で、街中での力強い走りはマルチシリンダーに迫るもの。

もっとも、低速域における力強い走りが面白くて仕方ない、なんて思うのは最初のうちだけで、慣れてくれば“そういうもんか”と思うようになるものだけれど、そんなことよりも、このグレードの良さはというと、高速道路での疲労感の無さに尽きるだろう。

Cクラスは、180でも高速安定性にたいへん優れたモデルだ。加えて、この220dなら、低回転域から力の出るディーゼルエンジンと、9速あるATとが相まって、ガソリンエンジンに比べて格段に低いエンジン回転域で巡航できるから、さほど踏まずともよく走ってくれる。これが、高速道路では非常にラクなのだ。

もちろん、燃費もいい。長距離ドライブ派にはもってこいのグレードで、後から後から、買ってよかったとしみじみ思えてくることだろう。
メルセデス・ベンツC350e

プラグインハイブリッドのC350e。6.2kWhのリチウムイオンバッテリーを搭載、充電時間はAC200Vで約4時間(CHARGEモードで約40分)

メルセデス・ベンツC350e

C250スポーツにも搭載される2Lターボにモーターを組み合わせ、システム全体で279ps/600Nmを発生する。JC08モード燃費はセダン17.2km/l、ステーションワゴン16.5km/l。なお、ディーゼルのC220dはセダン20.3km/l、ステーションワゴン19.6km/l

メルセデス・ベンツC350e

システムは4モードを設定。モードは走行状況などによりエンジンとモーターを併用するHYBRID、モーターのみのE-MODE、その時点での充電レベルを維持するE-SAVE、走りながらバッテリーを充電するCHARGEとなる


環境派には、今ならディーゼルよりむしろ、プラグインハイブリッドの350eかもしれない。これは、250用パワートレインの7Gトロニックにモーターを組み合わせることで、充電可能なハイブリッド車としたもの。

スペック上の総合燃費ではディーゼルの220dに劣るものの、実際には、フル充電時において30km弱(実際には20kmちょいと考えた方がいいだろう)までEV走行が可能だから、街中利用が多い平均的な日本のユーザーであれば、ほぼエンジンを回すことなく使用でき、場合によっては220dよりもずっと経済的に乗ることができるだろう。

加えて、600Nmのトルク性能はアッパレ。V6ツインターボの450を超え、V8ツインターボの63に迫る勢いだ。実際には、リチウムイオンバッテリーなどシステム重量が増えているため、0→100km/h加速などでは450に1秒ほど劣るものの、それでも5.9秒という数値は十分に速い。

ただ、日本の速度域内におけるドライブフィールには、他グレードのような一体感に欠けている面もややあった。

メルセデス・ベンツC450AMGアバンギャルド

国内では2015年7月に発表されたC450AMG 4MATIC。AMG専用開発の3LV6ツインターボを搭載、リア寄りのトルク配分と低めに設定されたロッキングトルクをもつ、パフォーマンス志向の4WDを搭載した


スポーティな走りが好きは超マニアック派には、もちろん最上級のメルセデスAMG 63および63Sをオススメするが、実は250スポーツや450AMG4マチックだって捨て難い。

特に250スポーツは頃合いの性能が嬉しい仕上がりで、パワーフィールはほどほどの強力、4気筒だからノーズの動きも軽快、前後重量バランスも良く、優れて操り応えのいい走りをみせてくれる。ただし、見映え重視の19インチタイヤはいかにもオーバーサイズで、乗り心地質感を損なう場面が多かった。

メルセデスAMG C63S

C63はV8エンジンを積むためフェンダーを左右それぞれ15mm、フロントオーバーハングを60mm延長


「最高の性能とオールマイティな実用性」なら最新C63を

メルセデス・ベンツC450AMGアバンギャルド

C450にはC63同様のサスペンションや、アシスト量が変化するパラメーターなどを装着する。ステアリングハンドル位置は左のみを設定


Cクラスに、ひとクラス上の上質なライドフィールを望むというなら、450だろう。このグレードは、ノーマルラインナップとAMGシリーズの間を埋める役割を果たす「AMGスポーツ」モデルの第一弾。

ほどよくAMGの手が入ったモデル、というわけで、過激すぎず、さりとてありふれず、という、昔のC43あたりとよく似た、“理性的スポーツグレード”という位置づけだ。ルックスもほとんどAMGで、むしろグリルの意匠などは凝っており、スペシャルな感じさえ受ける。

さらに日本ではこのグレードが唯一の4マチックCクラス(4WD)という事実も見逃せない。もっとも、4WDと言っても、リアに多めの駆動を配分するスポーツタイプで、ドライブフィール的には“どっしりと落ち着きのあるFR”。0→100km/h加速4.9秒(セダン)はひと昔前のAMGモデル級であり、何ら不満はない。ツウ好みの一台だと言えそう。

メルセデスAMG C63S

C63には湿式多板クラッチを用いた7速のAMGスピードシフトMCT、電子制御ダンピングシステムを備えたスポーツサスペンション、連続可変フラップをもつエグゾーストシステムなどが装備されている


もちろん、予算がふんだんにあるというなら、黙ってAMG63を選ぶべきだ。Sかどうかは、もう気持ちで決めたらいい。いずれも、他グレードを圧倒するパフォーマンスの持ち主で、スーパーカーイーター。Cクラス云々を超えてステータス性も高い。

たとえば、この先、新型EクラスのAMGが出ても、また、街中で横にS63に並ばれたとしても、C63には“ドライビングファンのあるAMGモデルを選んだ”という他モデルにはないアピールができる。それほど、パワフルでコントロール性に優れた、オールマイティに強力なマシーンなのだ。

自然吸気エンジン時代ほどの官能性は失われたものの、途切れなく溢れ出るターボパワーは、大排気量エンジン時代をモダンに再現しているとも言える。とにかく、頃合いサイズで最高の性能とオールマイティな実用性を手に入れたいというなら、つべこべ言わずに、最新のAMG C63を選んだ方がいい。
※記事内容は執筆時点のものです。最新の内容をご確認ください。