アベイデロックとは
ベルギー南部のワロン州の小さな村、モンタニャールシュールロック(Montagnarde Sur-Rocs)にある醸造所です。トラディショナルな部分を残した醸造方法を大事にしていますが、歴史は新しい醸造所です。創業者のジャン・ピエール・エロアールは、以前公務員でした。義父に「ビールを造るなんてスープを造るより簡単だ!」と啖呵を切って自宅で醸造を始めます。この「スープを作るより」という言い回しですが、さしずめ日本では「お茶のこさいさい」といったところでしょうね。なぜこの会話になったかは不明ですが、ジャンの造ったビールは徐々に評判になり、会社を辞めてしました。その後短期間ですがジャンはシメイを醸造しているアベイ デ スクールモン(スクークモン修道院)でビール醸造を本格的に勉強します。その後、1979年には2週間で50Lという極小のスケールで醸造家人生をスタートさせています。
醸造責任者のナタリーさん
現在では規模も大きくなり、ジャン・ピエール夫婦は経営を担当し、醸造学を学んだ娘のナタリーとパートナーのリュックが醸造を担当しています。
ノエル(クリスマス)ビールのイメージ
ベルギーでは毎年ノエルという名前を付けたビールが誕生しています。以前はブラウンで、高アルコールでスパイシーなものが主流でしたが、近年は型にとらわれず、明るめの色でスッキリとした味わいのノエルビールも登場しています。スパイスの使い方、甘く豊かな味わいは、シュトーレン(シュトレン)やパネトーネのイメージでしょう。シュトーレンはドイツ生まれ、パネットーネはイタリア生まれの菓子パンで、共に日持ちがするためクリスマス前に焼いてゆっくり時間を掛けて食べる、クリスマス時期には欠かせない菓子パンです。生まれはお隣のドイツや、イタリアですが、ベルギーでもブッシュドノエル(フランス生まれの「クリスマスの薪」という名前の薪型のケーキ)と同様に売られています。生地に思い思いのドライフルーツを複数練り込んで焼き上げるので、しっとりとした複数の甘い味わいが魅力で、ベルギーのノエルビールとも相性は抜群です。
アベイデロック スペシャルノエル
色は濃い目のブラウン、透明感の少ない色からも、ずっしりとした飲み応えを期待させます。ゆっくりと傾けたグラスに注ぐと、強い香りと共にクリーム色の泡が立ち上がります。ビール自体がガスの強いタイプではないので、泡は柔らか目。ゆっくりと泡が沈んできますが、気にしないでOK。このビールの魅力は泡持ちの良さではありません。甘いオレンジやレーズン、バニラやジンジャーのような香りも感じます。寒い冬にゆっくりと時間を掛けて飲むノエルビールは、時間の経過と共に味わいを変えていきます。お勧めは12℃前後。少しだけ冷たいビールをグラスに注いで、ゆっくりと手元で変化していく味を楽しんで下さい。次ページではアベイデロック スペシャルノエルにピッタリの料理を紹介します。