オーダーキッチンの落とし穴!
「火の仕舞」が肝心です
Vol.2 火の仕舞ができていないキッチンはキッチンでない。前回、オーダーキッチンの事例で気になる点として次の6項目を挙げました。
1: 水の仕舞ができていないキッチン
2: 火の仕舞ができていないキッチン
3: 材質の選択が適切でないキッチン
4: 組込む機器の選択が適切でないキッチン
5: 使う人の身長や家族の特性を把握できていないキッチン
6: その他、オーダーキッチンづくりに欠かせないこと
Vol.1では水仕舞のことを説明いたしましたが、引き続いて火の仕舞のことを説明します。
キッチンルームは火を使う部屋すなわち建築基準法で火気使用室に当たります。
IHクッカーは炎を出さないので国内でも地域によって火気使用室扱いをしない消防や役所もあるようですが、一般的にはIHを使っても火気使用室の扱いを受けるようです。建築確認の際に十分注意してください。
火気使用室の内装は準不燃以上の材料で仕上げる必要がありましたが、All About記事「キッチンデザインが変わる・内装制限の緩和」でも紹介したように、ガスコンロのまわりの指定範囲を特定不燃材で仕上げれば、部屋全体の内装材が自由に使えるようになりました。
http://allabout.co.jp/gm/gc/28260/
しかし、加熱機器のまわりは耐熱性や汚れに対する配慮、手入れのしやすさが非常に大切となるため、タイル、ガラス、ステンレス、キッチンパネルなどの不燃材料で仕上げることが重要です。
特に注意していただきたいのはステンレスで仕上げたコンロまわりの事例を良く見かけますが、ステンレスは不燃材ですがその下地を施工が楽でコストの安価なベニア板などの可燃材で施工されている例が多いことです。
長時間コンロを使っていると気づかないうちにステンレスの下地が徐々に炭化して、あるとき一気に燃え上がってしまう火災事故があることです。
厚みのない仕上げ材を使う場合は、必ず3mm以上のフレキシブルボードや5mm以上のケイカル板、12mm以上の石膏ボードなどを下地材に使うようにしてください。
もうひとつ火の仕舞で重要なことは、換気方式の選択です。
ガス機器の設置基準には次に紹介するルールがあります。
(財団法人ガス機器検査協会発行「ガス機器の設置基準及び実務指針」による)
換気上有効な排気フードの例(排気フードII型)
レンジ及びコンロ等の周囲の防護
ガス調理機器とレンジフードのグリスフィルターとの離隔距離(基本規定57)
消火作業上緊急処理に必要な最小保有空間の例
ガス機器防火性能評定品に貼られる離隔距離の評定ラベルの例
吸込み口が近いと、万一コンロから炎が上がったとき炎をダクトの中に呼び込んで火災事故につながる危険性があるため、グリスフィルターまで60cm以上の離隔距離は最低確保するようにしましょう。
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