女性の睡眠時間・睡眠の質と妊娠しやすさの関係
次は女性ですね。最近、女性の睡眠関係で注目されているのが睡眠ホルモンと言われているメラトニンです。
メラトニンとは脳の松果体というところから分泌されるホルモンです。日中は光刺激により分泌が抑制され、夜間になるとさかんに分泌され、明暗周期に敏感に反応した日内変動(にちないへんどう)、概日(がいにち)リズムを示します。
メラトニンには、睡眠促進作用、外界の24時間周期に体内時計を同調させる作用があると考えられ、睡眠障害の治療に用いられます。
実は、メラトニンには、睡眠を演出するだけでなく、活性酸素を抑制する抗酸化作用を有することが知られています。
夫婦共にぐっすり眠りたいものですね
メラトニン摂取で体外受精における受精率、妊娠率が上昇
前回の体外受精が不成功に終わり、受精率が50%未満であった115名の女性を2つのグループに分けて、一方のグループ(56名)には、採卵前周期の月経5日目から採卵日の前日まで、1日3ミリグラムのメラトニンを摂取してもらい、
もう一方のグループ(59名)にはメラトニンは摂取せず、前回の体外受精と比べて、変性卵率や受精率、妊娠率を比較しました。
その結果、メラトニンを摂取したグループでは、前回の体外受精周期と比べて、
変性卵率は低下、受精率が上昇、19.6%の妊娠率であったのに対して、メラトニンを摂取しなかったグループでは、受精率の改善は見られず、妊娠率が10.2%だったとのこと。
杉野教授らのグループでは、これまでの研究で、以下のことを確認しています。
- 排卵過程において、酸化ストレスが生ずると卵の成熟を妨げる
- メラトニンが卵胞内で抗酸化物質として働き、卵を保護している
- メラトニン投与が実際に卵の質を改善、受精率や妊娠率の向上につながる
メラトニンがきちんと分泌され、それにより良質の睡眠が摂れると、妊娠力が向上するというのがお分かりになるかと思います。その逆がうつですね。うつ病になると確実に睡眠障害になりますので、精子も卵子の質もダウンしてしまいます。これらの文献から「妊娠において睡眠がいかに大事か」ということがわかりますよね。
妊活中に気をつけたい年末年始の過ごし方
夜0時までには就寝したいですね。
今、このシーズンに自然妊娠する人も実は意外と多いのですが、その方々の話を聞くとどうやら、「一次会で帰る、飲みすぎない、夫婦の時間をきちんと取る」という決まりを2人で守っているケースが多いことが分かりました。
もちろんお付き合いで遅くなることもあるかと思いますが、妊活は期間に限りがあるので、そこは集中力を発揮しなくてはいけないのではないかと思います。
楽しく過ごし、飲みすぎず、夫婦仲良く、日々適度に運動し、よく睡眠を取る。そういう基本的なことを、この時期だからこそ意識してほしいなと思う次第です。