大豆由来の栄養成分が吸収されやすい形になる味噌の魅力
味噌汁を含めた献立が、和食の基本です。
また味噌は発酵していることで、タンパク質や糖質などの栄養素が吸収のよいアミノ酸やブドウ糖に分解されているのもよい点です。
味噌や味噌汁は、血圧だけでなく、乳がんや骨粗鬆症になりにくい、老化の原因の活性酸素を抑制するなどについての研究報告もあり、今後も健康への関連性についての研究は期待されています。
味噌汁の実の三種は身の薬!
味噌は、飛鳥時代に中国から伝わりましたが、平安時代までは「未醤(みそ)」の字が使われ、漉していない粒の残るもので、汁に溶いて使うのではなく、そのまま食べたり食品につけたりして食するものでした。鎌倉時代の禅寺で、中国の僧がすり鉢を伝え、粒味噌をすり味噌にできるようになり、味噌汁として作られるようになりました。一汁一菜という質素な食事は禅の教えを精神修養とした武士の食事にも広がり、戦陣食としても味噌は乾かして焼いて丸めて利用されました。
室町時代後期になってから今のような味噌汁という形が登場したと考えられ、戦国の世には軍馬の餌に大豆が使われたため、広く庶民の日常の食卓にいきわたったのは、江戸時代の泰平の世になってからだと考えられています。
粗食とはいえ一汁一菜でも、献立として食事が成り立つほど、味噌汁は存在価値がある料理。古くから「実の三種は身の薬」と言われますが、それは、味噌汁の具が3種類あると、薬となるという意味です。できるだけ具沢山にするほど健康に役立つことを、経験的に理解し、伝えてきたのでしょうね。
古くからのインスタント食品だった味噌汁の手軽さ
もともと寺院の食事として伝わった味噌汁は、一般家庭に普及すると、とても重宝されたようです。それまでは酢・醤油、塩、味噌などの調味料を、食膳に並べて、食べる人が素材につけて味付けして食べていたのですが、味噌汁にごはんをいれて味噌雑炊、味噌汁に鮒を煮込むなどのように、手早く調理できるようになったからです。おいしい味噌は、ちょっと味がきまらない時に、少し加えると料理の味をしめてくれます。オフィスのランチタイムに、お弁当にもぜひ添えたいものです。市販のフリーズドライタイプもよいですが、自家製インスタント味噌汁もおすすめです。ラップに、味噌、けずり鰹、ネギ、ワカメ、干し野菜などを丸めておいて、お湯で注げば、できあがりです。寒い日には、体も温まり、午後からの仕事の活力になりそうです。
参考/
・みそ健康づくり委員会
・日本食文化と健康(共立女子大学家政学部食物栄養学科臨床栄養学研究室)
・食卓の文化誌(文藝春秋)
・日本食生活史(吉川弘文館)
・江戸の食卓(夢文庫)
・江戸時代 食生活事典(雄山閣)
・別冊太陽 料理(平凡社)
その他