味噌汁摂取頻度と血圧には関連性なし
味噌汁は、塩分が高いからとさけていませんか?
この研究では、東京都内の人間ドックを受診した男性(平均年齢55歳)102名に、聞き取り法で食物摂取頻度と人間ドックの成績との関連性を調査しました。味噌汁の摂取低頻度群(5日間当たり0~2回)、味噌汁摂取中頻度群(5日間当たり3~5回)、味噌汁摂取高頻度群(5日間当たり6~15回)にわけて評価したところ、味噌汁摂取頻度と血圧には関連が見られず、また1日1杯程度の味噌汁のある食生活が、血管年齢を10歳程度改善する傾向が確認されました
味噌そのものの塩分は、味噌汁の食塩摂取量への寄与率の約2%程度。味噌汁は食塩摂取量の独立した決定要因ではありませんでした。むしろ「調味料・香辛料」(14%)や「漬け物」(9%)、「ゆで麺」(5%)の方が塩分摂取に与える影響が大きいことがわかりました。
味噌汁1杯150mlを飲む時の塩分摂取量は1.2~1.5g前後で、他の料理と比較しても、味噌汁の塩分はそれほど多いものではありません。塩分の摂り過ぎで間題になるのは、ナトリウムの過剰摂取が高血圧などの原因になると考えられるためです。ナトリウムは、同時にカリウムを摂取すると、体外に排泄されやすくなります。味噌汁には、野菜や芋類、ワカメなどの海藻といったカリウムを含む食品を使います。こうした組み合わせで中和されているのでしょう。
また、以前の共立女子大学の研究(ラットレベル)では、0.9%食塩水、1.3%食塩水と味噌汁(塩濃度1.3%)を与え血圧上昇を比較したところ、味噌汁摂取区では0.9%食塩水を与えた場合の血圧上昇にとどまり、3割の減塩効果があることが報告されています。味噌には抗酸化成分や、血管拡張物質が含まれていることが抗高血圧作用に関わっているのではないかと示唆されています。
味噌汁摂取で血管年齢が改善する効果も?
さらに、今回の研究発表では、心臓から足首までの動脈の硬さを反映する、血管年齢の指標「CAVI値」(動脈硬化が進行するほど高い)を見ると、1日1杯程度の味噌汁のある食生活がCAVI値を低下させ、血管年齢を10歳程度改善する傾向が確認されました。こうした研究結果を見ると、常識的な食べ方であれば、味噌汁は恐れるような料理ではなく、実だくさんにすれば、一品で様々な栄養成分をとれる手軽な料理と言えるでしょう。
また、ガイドの友人にも、血圧は問題なくとも味噌汁を作るのが面倒で……という人もいます。和食のよさが見直される中、ぜひ味噌汁も見直してほしいものです。