NASAも認めたカールツァイスレンズの実力
いくら小型化されたからと言っても小柄なNEX-5Tに装着するとカールツァイスレンズは巨大に見える。レンズのサイドには青地に白文字のZEISSロゴが見える。花形フードが付属。広角側は24mm相当なのでフードは欠かせない
写真はレンズで決まると言われますが、それはフィルムカメラ時代の話であって、デジタルカメラでは、レンズ、センサー、画像処理エンジンの3つの要素が写真の決め手になっています。そうだとしてもレンズの影響力は甚大です。ではニコンのカメラにはニコンのレンズ、キヤノンのカメラにはキヤノンのレンズが付いているから、そのメーカーの色合いや画質になると思われている方はいませんか。実はそうとも限りません。パナソニックのLUMIXのレンズはLeicaブランド、ソニーのCyber-shotにはカールツィアイスのレンズが使われています。どちらも世界的に有名なレンズの一流ブランドです。コラボによって、より高性能、高画質を追求しようという考え方です。
ソニーはミラーレス用交換レンズを3種類用意しています。まず、ソニーの交換レンズ、その高性能版となるソニーGレンズ、そして、カールツァイスレンズです。特にカールツァイスレンズがオートフォーカスで使えるのはソニーだけ! というキャッチフレーズまで持ち出してそのメリットをアピールしています(現在は本家カールツァイスがミラーレス用交換レンズとして富士フイルムXシリーズ用のAFレンズを発売していますが)。カールツァイスはレンズ設計に科学的に解析して、その性能を画期的に進化させました。
また、レンズの性能を評価する指標となるMTFの提唱など数々の功績を残しています。アポロ11号に持ち込まれて月面着陸を撮影したのは、ハッセルブラッドEDCに装着されたカールツァイスレンズ「Zeiss Biogon 5.6/60mm」だったのです。そして、月の石と引き替えにカメラとカールツァイスレンズは、今も月面に残されています。絶対的な信頼性と高性能が求められるアポロ計画でNASAもカールツァイスを選んだのです。その後、6回の月着陸で撮影された写真は3万3000枚にもなったのです。
今回はNEXシリーズで使える新製品「Vario-Tessar T* E 16-70mm F4 ZA OSS」をNEX-5Tに装着して、その魅力に迫ってみましょう。まず、カールツァイスレンズと言えば、高額、大きい、重いの三拍子で有名ですが、そんな定説を打ち破る重さ308gを実現。これは開放絞りF4固定のズームレンズとしてはかなり軽い方になります。なぜなら、カールツァイスレンズは単焦点レンズでも500gを下回ることはなく、開放絞り値の変わらないズームとなれば800gはあったからです。さらに全長も75mmとコンパクトです。4枚の非球面レンズと1枚のEDガラスを採用した最新の光学設計と同社が誇るT*コーティングが、高いコントラストと抜けのいい描写を実現。この非球面レンズの1枚にソニーが独自開発したAAレンズを用いることで、コンパクト化を果たしています。
レンズの外装は金属製パーツが使われ、フォーカスリングとズームリングは適度な抵抗感があり、思った位置でスッと止まってくれる
望遠撮影時にはレンズ鏡胴がかなり伸びる。先端が根元より細いので、その姿はちょっと不格好だが小型軽量化のためには仕方ないのだろうか
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