スマートハウス・エコ住宅/スマートハウス・エコ住宅の基礎知識とトレンド

スロー化する住まい~窓(2ページ目)

窓を開けるとひんやり。都心に住んでいても季節の移ろいはふとした時に感じられ、そのたびに癒されます。こうした自然を感じる暮らしは、日中家にいることの多い主婦・女性こそ求めているのではないでしょうか。大震災後の「生き急がない」価値観の変化もあるでしょう。そうした価値観の変化を受けてか、これまであまり注目されてこなかった「開口部」が再び注目されています。

河名 紀子

執筆者:河名 紀子

家づくりトレンド情報ガイド


「堅牢に閉じる窓」から「ゆるやかに閉じる窓」へ

採用前

壁埋め込み耐震装置を採用する前の開口部イメージ(以下2点とも積水ハウス提供)

そうした傾向は今年2013年の住宅トレンドにも見てとれます。もちろん、開口部は高度成長期以来の住宅業界にとってのテーマの一つでもありました。しかしその開口部の在り方とは、オイルショックや京都会議など環境ブームと相まって、省エネ・室内の熱を逃がさない「高気密高断熱でしっかり閉じる」開口部でした。それは24時間全館空調の普及もあって、1年中締め切るのが一番熱効率がいいとされてきました。


採用後

壁埋め込み耐震装置を採用後の開口部イメージ。解放感がかなり違う

しかし、その流れが確実に変化してきました。

企業テーマとして「SLOW & SMART」を掲げている積水ハウス。「家に帰れば、積水ハウス」「ゆっくり生きていく、住まいの先進技術」と、対極的なSLOWとSMARTを見事に共存させたメッセージですが、業界リーダーで常に最新技術で業界をけん引してきた同社が、このメッセージを強く打ち出したのも東日本大震災以降というのも注目されます。

その象徴的空間「スローリビング」は、「生活スピードをゆるめ、ゆったりとした時間を取り戻すための空間」で、震災のあった2011年度グッドデザイン賞も受賞しています。古来から日本人に親しまれてきた縁側や床座、空などを現代空間に取り入れる工夫が試みられていますが、そのどれにも必須であるのが「開口部」です。

「スロー=庭につながる」?

ショールーム

ハイブリッド・シーカス装置の現物は東京・新宿マインドタワー内のショールームでも見られる

この「住宅のスロー化」を実現する開口部をもっと強化しようと、このほど同社は「ハイブリッドシーカス」を新開発。従来からあった制震システム「シーカス」と、耐力壁を同じ位置にドッキングさせることで、住宅全体の壁を減らし、開口部や空間の大開口を広くとることができるため、大きな窓を存分に増やして「スローリビング」を実現させるというものです。

具体的には、構造壁を集中配置するので壁を減らした分、基礎も削減でき(構造壁の下の基礎はより強度の高いものを採用)、大きなピロティ(軒下空間)など変化に富んだダイナミックな外観も可能になるとのこと。(構造や仕組みの詳細は同社HP等を参照ください)

同社が行ったアンケートによると、「取り入れてみたいスローリビング空間」のトップは「庭につながるスローリビング」(57.9%)で、次いで「バルコニー」「空」が続きました。これはガイドの見解ですが、なぜ庭かと言えば当たり前ですが緑が見えること、それが空や屋外(バルコニーからは隣家の屋根?)よりも人の癒しに大きな影響を与えているのかもしれません。
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