「堅牢に閉じる窓」から「ゆるやかに閉じる窓」へ
壁埋め込み耐震装置を採用する前の開口部イメージ(以下2点とも積水ハウス提供)
壁埋め込み耐震装置を採用後の開口部イメージ。解放感がかなり違う
企業テーマとして「SLOW & SMART」を掲げている積水ハウス。「家に帰れば、積水ハウス」「ゆっくり生きていく、住まいの先進技術」と、対極的なSLOWとSMARTを見事に共存させたメッセージですが、業界リーダーで常に最新技術で業界をけん引してきた同社が、このメッセージを強く打ち出したのも東日本大震災以降というのも注目されます。
その象徴的空間「スローリビング」は、「生活スピードをゆるめ、ゆったりとした時間を取り戻すための空間」で、震災のあった2011年度グッドデザイン賞も受賞しています。古来から日本人に親しまれてきた縁側や床座、空などを現代空間に取り入れる工夫が試みられていますが、そのどれにも必須であるのが「開口部」です。
「スロー=庭につながる」?
ハイブリッド・シーカス装置の現物は東京・新宿マインドタワー内のショールームでも見られる
具体的には、構造壁を集中配置するので壁を減らした分、基礎も削減でき(構造壁の下の基礎はより強度の高いものを採用)、大きなピロティ(軒下空間)など変化に富んだダイナミックな外観も可能になるとのこと。(構造や仕組みの詳細は同社HP等を参照ください)
同社が行ったアンケートによると、「取り入れてみたいスローリビング空間」のトップは「庭につながるスローリビング」(57.9%)で、次いで「バルコニー」「空」が続きました。これはガイドの見解ですが、なぜ庭かと言えば当たり前ですが緑が見えること、それが空や屋外(バルコニーからは隣家の屋根?)よりも人の癒しに大きな影響を与えているのかもしれません。