写真は「文化」を読み解くもの
MITAMURA Akira「hiroshima elements」
この写真を見て、「私がシャッターを切ったのとどう違うの?」と思う人も多いでしょう。
「これは今の広島を撮影したものです。石材店に仏花が売られ、その横に広島の人にはなじみがあり、他地域の人は知らないという竹細工(盆灯籠)も売られています。今を通して広島を捉えなおす、というように、写真は文化を読み解くものなんです」。
例えば、日本に生まれても、日本や日本語について義務教育でも勉強をします。現代文や古文を読み書きしたり、歴史などを学びます。写真も同じように、どう読み解くか、写真の歴史を知ったうえで写真を見ると、より理解ができるものなのだそうです。
「富士山を見て、私たち日本人は『富士山だ』と分かりますが、日本人以外の人たちはただの美しい山としか認識しないでしょう。富士山について知ったら、日本で一番高い山だとか、日本人にとって崇高なものであるとか、意味が出て来ます。写真も同じ。写された対象の意味、作家の背景や考え方を知ると、もっと楽しめますよ」。
写真の歴史の調べ方や写真作家については、後日掲載しますのでお楽しみに!
写真の立場と美術でのバリュー
ISHIUCHI Miyako「ひろしま#14」Donor: Hiromoto, S.
上と下にある衣服の写真は、日本を代表するアーティスト石内都さんの写真作品です。写された衣服や下着は、寂しげで、何か訴えかけているように見えます。実はこれも「広島」をテーマにした作品。広島の被爆者が身に着けていた衣服や下着が写されています。
「美術は、その時代の人が何を感じ、考えていたか、を表したものといえるでしょう。写真は、同時代性を未来の人に伝えるものです」。
ISHIUCHI Miyako「ひろしま#43」Donor:Yamane, M.
そういう視点でこの写真を見るとき、穴が開いたり、キズがあったりしますが、「私も着ているような下着」と思ってしまう。他人事だった広島だったはずなのに、私に関係がない広島“ではない”、と意味が変わるのです。
美術作品を見るときには、想像力のような、見る人の思いと作品がクロスします。と同時に、写真作品は、写真が持つ記録性が強みとなり、時代(時間)を超えて、私たちは写された対象にいろいろな思いを寄せることができるのです。
【展覧会・イベント情報】
The Third Gallery Aya 今後の展覧会情報
2013年12月3日(火)-12月28日(土)
牛腸茂雄展「the Second」