クラシック&レトロがキーワード
今回、目に留まったのが、日本とは路線の異なる「冷蔵庫」の数々でした。省エネや大容量をうたったものもありましたが、デザイン面や機能面において、現在日本で見られるものとは全く異なるものが見られたのです。1つは「クラシック」「レトロ」などをキーワードにしたデザインの冷蔵庫。丸みのあるフォルム、温かみのあるカラーが懐かしさを感じさせる点で共通しています。圧巻だったのが壁いっぱいに15色のカラーバリエーションの冷蔵庫「Classic」を並べたBOSCH。1ドアで野菜室のボックスが一番下に設けられたものですが、扉を開けるとLEDライトが灯され、環境基準もA++と省エネ性においても決して劣っているわけではありません。ステンレスやガラス製の四角四面な冷蔵庫ばかりを目にすることの多い昨今ですが、この愛らしい形の冷蔵庫は、展示品の前で誰でも立ち止まり、思わず開けてみてしまう……そんな魅力を放っていました。
トルコの家電メーカーVESTELでも「Retro」と名付けられたカラフルなラインを出しており、こちらは大きさや扉の数を変えた3製品での出品。2ドアタイプで下段の冷凍室が引き出し式になっているもの、背の高さほどの1ドア、2ドアの上段に少し大きめの冷凍室を備えたものと、1980年代ごろの日本の冷蔵庫を思わせる構造ですが、ネオンカラーのようなポップな色合いが、“新しさ”を感じさせます。
また、2013年7月にパナソニックと業務・資本提携したことでも知られるスロバキアの家電メーカーGorenje(ゴレニエ)からも「RETRO COLLECTION」として4つのカラーの冷蔵庫が展示されていました。時を同じくして、このようなクラシカルなデザインの冷蔵庫が並ぶとは、原点回帰とでもいうのでしょうか。ヨーロッパの冷蔵庫には1つのうねりが生まれているようです。