電子商取引が急速に伸びているロシアで売上高が急成長
同社は2007年に創業された会社で、登記上はロシア企業にありがちでこの春に話題となったキプロス島本社となっていますが、実質本店はモスクワにあります。 売上はクレジット会社のように、電子決済にともなう薄利の手数料です。しかし電子商取引が急速に伸びているロシアにおいて、売上高が急成長しています。2013年の市場予想平均による売上高(調整後)は56億ルーブルでした。1米ドル=32ルーブルほどなので日本円で約175億円ほどとなります。予想成長率については(調整後の)売上高が前年比+34.5%増、(調整後の)純利益が+83.9%増となります。前年の利益も80%を超える成長率でした。(「調整後の」とあるのは、金融会社につき少し特殊な売上計上のあるためです)
2013年上半期の売上高は28億4491万ルーブルで前年同期比+56.1%増、純利益は10億ルーブルで同+103.4%の増益でした。非常に高い成長率が続き、元々高い利益率もより向上して来ています。会社側の発表した予想売上と利益は非常に保守的で控えめですが、アナリスト予想はより実際の着地実績に近い大胆な成長予想となっています。市場コンセンサスの目標株価の平均は40.5ドルとなっています。PERは38倍近い高いものとなっていますが、ROEも非常に高いため、高いPERは他の成長株同様、問題視する必要ありません。
ロシアでは電子決済サービスが伸びる下地がある
ロシアではソ連崩壊後に金融危機が起こり、ひどい目にあった庶民は未だに金融システムを信頼しておりません。1990年代の同国では、ハイパーインフレーションとデノミが続き、政府はルーブルを買い支えるとともに、短期で高利回りの国債を乱発して窮地を凌いでいましたが、やがてそれも限度を超えて爆発し、デフォルトに陥り、国債を買い込んでいた銀行の破綻が相次いで預金封鎖へと繋がりました。結果的に国民の預金は没収され、破綻した国家財政にあてがわれました。また通貨ルーブルも価値が急速に下がり続け、ドルを持っていた人だけが難を逃れました。あまりにもひどい経験となったので、今でもロシアの人々は銀行を信頼しておらず、預金口座を持つ人は少数派です。また欧米のようにクレジットカードも流行らず、買い物は現金決済が普通となっています。そこへ新しいノンバンクの決済サービスとして、電子マネーが登場したのです。銀行やクレジットカードは信用しないが、買い物は現金では不便と感じる人に受けました。そこで100%以上の普及率のある携帯電話から、電子決済のできる同社のサービスが流行りだしているところです。
日本のおサイフケータイ(Edyなど)に似ていますが、実はまだコンビニやスーパーなど実際のお店での決済には使えません。ただ、そうなる日はすぐに来ると思います。現在ロシアで使える電子決済は、携帯からeコマースサイトで行うショッピングと、キオスクと呼ばれる同社専用の端末機(ATMのようなもので、17万台ほどが街に設置されている)からタッチスクリーンを操作して、電気、水道、ガス、通信代などの決済や銀行へ送金を行えます。SkypeなどでもQIWIから支払い、通話できます。入金もキオスクから現金をチャージできるほか、銀行などからも自分のアカウントへ電子送金できます。
なおバランスシートは無借金に近い状態となっていますが、株主資本が6月末時点で20%ほどしかありませんでした。しかしこれには米国での上場(そしてその後モスクワでの上場)による資金調達がまだ入っておらず、その後100億円を超える資金調達を行ったので、問題ありません。
参考:グローバルグロースレポート
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