お茶漬けは、カテキンの吸収が高まる
お茶漬けをすることで、カテキンの吸収がよくなることがわかりました。
以前から緑茶に含まれるカテキンが風邪予防などに役立つのではないかとされ、研究が重ねられています。
2013年9月11日付け『中日新聞』によりますと、お茶漬けがカテキンの吸収をよくするという、たいへん興味深い記事が掲載されていました。
独立行政法人野菜茶業研究所(島田市)の主任研究員、物部真奈美さんが10日、同研究所であった市民セミナーでお茶漬けの健康作用を紹介した。
緑茶成分のカテキン類には、抗がん作用があるとされるエピガロカテキンガレート(以下EGCG)と、老化抑制に役立つとされるエピガロカテキン(以下EGC)が多い。物部さんはエピガロカテキンを研究し、免疫力を高める働きがあることを発見した。
研究を進め、マウスにお茶漬けを食べさせた場合と、同じお茶だけを飲ませた場合を比べると、お茶漬けにした時の方が血液中の総カテキン量が1.6倍多くなった。
ガイドは、お茶漬けはさらさらとよく噛まずに食べてしまい、あまり健康に役立つ料理というイメージはありませんでしたから、お茶漬けすることのメリットが示され、たいへん興味をもちました。
同研究所の物部氏に問い合わせをしたところ、「お茶漬け」という食べ方にこそポイントがありました。
ごはんのタンパク質に結合することで、吸収されやすく
物部氏によると、「理由ははっきりと分かっていませんが、これまでの様々な研究報告から、緑茶中のEGCGが炊飯米のタンパク質に結合し、結合したまま消化管に到達し酵素などの働きにより、吸収されやすいEGCに変化する可能性があるということが推察されます」とのこと。炊いたごはんではなくても「タンパク質なら何でもよいのでしょうか?」と質問したところ、「EGCGがプロリン(アミノ酸)が豊富なタンパク質に結合しやすいことは、これまでにも報告されており、お米にもそのようなタンパク質を含んでいます。また、お米には含まれていない多糖類にEGCGが結合しやすいという研究結果が報告されているので、他のタンパク質でも結合する可能性はあるかもしれません」とのことでした。今回の結果は炊いたごはんでの確認に限られたもので、他のタンパク質については確認されていません。
熱湯でいれることでEGCGが浸出される
近年家庭では、リーフから緑茶を入れるよりも、すでに抽出された緑茶を購入し飲むスタイルが増えています。とすると、ごはんにお湯を注ぎ、抹茶や粉茶でもふりかける方法が簡単なのではないかと考えました。物部氏によると、「抹茶を添加するよりも、熱湯で煎じた緑茶を使用する方が吸収は高まることになります。なぜならば、ごはんに結合する性質を持つEGCGは、熱湯でなければ浸出されにくい性質を持っているからです。お茶漬けのお碗の中のお湯の温度は当然下がっています。低温のお湯では抹茶からEGCGは浸出されにくく、そのため、お米に結合するEGCGも熱湯浸出させたものよりも少なくなる可能性があります」と説明してくださいました。
熱いお湯でEGCGをしっかり浸出させるというプロセスが大切で、またごはんと結合することで吸収がよくなる、ということがよく分かりました。