男の子育て/ワークライフバランス・男の育児休暇

「子どもは社会の宝」の本当の意味(3ページ目)

動物だって植物だって、その一生は、次世代に命をつなぐために最適化されています。いかに確実に生き残り、子を産み、育てるか。そのために生物は進化してきました。つまり、子どもを産み、育てることは、生物としての営みのメインストリームであるわけです。生き延びて、子どもを産み、育てるために、日々の糧を求めてさまよう、つまり仕事をするのであって、仕事は本来のメインストリームではありません。

執筆者:おおた としまさ


親にも「社会の子」をお預かりしている意識が必要

わが子は社会の子

わが子は社会の子

一方、親は親で、「自分の子」を育てているのではなく「社会の子」を育てさせてもらっている意識をもっともたたければいけないと思います。

子どもを「私有化」して考えるのではなく「社会の宝物」として考えて、大事に育てるべきです。「たまたま自分のところへ生まれてきてくれた宝物を大事に育て、立派な1人の大人として社会にお戻しする」という意識です。

社会全体にそのような意識が広まれば、「子どもを育てる」というミッションに対する社会からのリスペクトの度合いも上がり、子育てに対する社会的バックアップも自然に強化されると思います。親も親であることにもっと誇りと喜びを感じられるようになると思います。

わが子ばかりをかわいがり、「子どもは社会の宝」的意識が希薄だと、子育てに対する社会的なバックアップが脆弱化し、結果、子育てのしにくい社会になり、少子化現象を巻き起こす、というのが私の考えです。

私は強く思います。社会全体が仕事や経済優先の「べき論」の不自然さに気づき、子育てに全力を傾けるパパやママにもっと尊敬の念をもつべきだと。感謝の念をもつべきだと。子どもやパパやママに対する社会の目がもっと暖かければ、子育てはもっと楽しくてラクであるはずです。子育てを大変にしているのは、社会のムードなのです。

子育てはもっとも公共性の高い人間の営みです。子育て中の親は、自分の親としての立場にもっと誇りをもっていいのです。
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