ビリー・ジョエルの様々な側面を見出せるアルバム
■アルバム名グラスハウス
■アーティスト名
Billy Joel
■おすすめ理由
「グラスハウス」は1980年リリース通算7作目。
全米アルバム・チャートで6週連続1位となった、
ビリー・ジョエルにとって2作目の「1位獲得」アルバムです。
それまでの彼の作品は、ピアノ・マンそのままのイメージを誇示し、
社会に対するメッセ-ジを静かにしたためた、シンガー・ソングライター風なものでした。
ただ、彼はアルバム「ニューヨーク52番街」のライナーの中でも
明らかにした無類のロックンロール好きだという一面を持っています。
3才からクラシック・ピアノのレッスンを始め、エルヴィス・プレスリーを知って以来、ロックンロールの虜になりました。
1977年8月16日にテネシー州メンフィスの自宅、
グレイスランドで死去したエルヴィスの訃報を知り
人知れず泣いた事実も明かしている程です。
またフィル・スペクターのサウンドにも影響を受け、
音楽的思考は次第にロックンロール、ソウル、R&Bへと幅を拡げていきます。
やがてビートルズの出現によって、ロック・アーティストへの決意を固めます。
勿論「ストレンジャー」「オネスティ」「素顔のままで」といった楽曲中で顕著な、70年代流シンガー・ソングライターの手法や傾向は多くの人が知るところで、次回作への期待が大きくなっていました。
そんな矢先に彼が打ち出した策は、予想を越えたロックンロール・アルバム、
鏡張りの一軒家(当時のビリーの自宅)の前で、
石を投げつけようとする姿勢のアルバム・ジャケット、
そして「いつまで一つのことにこだわってるんだ?時代は動いてるんだぜ!」という邦題サブタイトルまで付いていました。
一曲目「ガラスのニューヨーク」では、8ビートのロックンロール、
いつものバンド仲間と鳴らすそのサウンドには、
鍵盤の音が入っていないのも印象的です。
また4曲目「ロックンロールが最高さ」では、
パンク、ニュー・ウェーヴ、ファンクといった当時の
最新音楽シーンへの辛辣なメッセ-ジが込められています。
本来彼がやりたかったロックンロールを主軸に、様々な側面も見出せるアルバムとして、今でもファンに支持されている快心作です。