「魅せる」部分の確保のしかた
この春に大学院を離れて新生活を始める田中奈保さんの希望は「ライブラリーバーのような雰囲気の本棚が欲しい!」でした。このプロジェクトの目標は、収納力がありながらも実用一辺倒でない美しい本棚を作ること。実用性に、美しさをどうプラスすべきか。その回答は、「最も目に付きやすい段をディスプレイ用に開放する」ことです。BILLYでつくった、天井いっぱい、大容量の壁面収納。このうち、下から数えて5段め、目の高さより少し上の段は「魅せる」収納。お酒の瓶とカクテルのシェーカー、お気に入りのグラス類を並べます |
田中さんの本棚の場合は、目線より少し上の段に、バーの雰囲気を出すべくお酒の瓶などを並べました。使ったBILLYの幅は、端から順に40cm、40cm、80cm、40cm、40cm。中央の80cm幅の棚が最も目立つので、ここにお酒の瓶を並べます。向かって右隣の幅40cmのBILLYの同じ段にはグラス類、左隣の40cm幅にはシェーカーなどを収納しました。これらは照明で下からライトアップし、雰囲気を高めます。
その隣の40cm幅、つまり両端のBILLYには照明が入っていません。これは本棚の真ん中に視線を集中させる効果を狙ってのこと。両端の「魅せる」度合いを低くすることで、中央の棚に視線を誘導するのです。この「魅せたい」部分は絶対キープ。
扉を開けたときの様子。80cm幅だと、本もたっぷり収納できます。お酒の段、照明の入った段は、本の持ち込み禁止。「魅せる」ためのエリアと心得ます |
両端の(照明のない)BILLYの、お酒の瓶などと同じ高さの段も「魅せる」エリアで、今のところアートフレームが飾られていますが、本が増えれば本を収納します。ある程度本が増えても大丈夫なように余裕を作っておくことが、本好きの本棚づくりを成功させるための秘訣。本がバーのエリアにも進出しそうであれば、それは蔵書全体を見直すべき、あるいは本棚を買い足すべき時期というサインです。
次のページでは、バーらしい雰囲気を出すのに効果的な照明を設置するときの注意点をご紹介します。