恋人同士の元インターポールの刑事と世界を股に掛ける凄腕スナイパー
■作品名ツーリング・エクスプレスEURO
■作者名
河惣益巳
■連載雑誌
別冊花とゆめ
■おすすめの理由
「ガラスの仮面」や「あさりちゃん」、「王家の紋章」など、わたしが子どもの頃から続いている少女漫画は結構ありますが、これもその一つです。
一度28巻で完結はしていたのですが、わたしと同じく、惜しむ方がたくさんいたのでしょうね。
最近「ツーリング・エクスプレスEURO」と少々名前を変えて、連載再開されました。
ヒロイン(書き間違いではないです)のシャルルは、元インターポールの刑事であった美少年。
そしてヒーローのディーンは、インターポールのブラックリストのトップに名前があがる超一流の殺し屋です。
え~二人とも男性ですが、がっちり恋人同士です。作中ではふたりの愛のシーンも当然出てきますので、年齢が「少女」の方、異性以外の恋愛が苦手な方にはお勧めしません。
作者である河惣益巳さんは、多作で博学な方のようで、デビュー年の現在でも、このツーリング・エクスプレス以外に大正時代の歌舞伎役者を主人公とした「色兼ネル」、京都の舞妓芸妓の世界を舞台とした「玄椿(くろつばき)」など精力的に連載されており、どれも好きです。
ご本人も調査のための勉強が好きなのでしょうね。今あげた物語もそうですが、かつて「火輪」や「炎の月」「サラディナーサ」その他短編のどれをとっても、細部まで調べ書き込んだ重厚な作品ばかりです。そしてもちろんこの「ツーリング・エクスプレスEURO」も。
主人公が元インターポールの刑事と世界を股に掛ける凄腕スナイパーだけあって、ユーロ危機にエジプト革命、IRAの過激派が出てくるかと思えば、シリア危機が舞台と、虚実あわせつつ時事問題を織り込んで、単なる娯楽作品としてだけではなく、社会勉強のテキストとしてもお勧めできます。