舞台が原作の、9人の中学生の少年たちが繰り広げる荒唐劇
■作品名ライチ☆光クラブ
■原作
東京グランギニョル(演劇)
■作画
古屋兎丸
■巻数
全1巻
■おすすめ理由
1980年代の演劇を原作とした、アングラな雰囲気のちょっとマニアックな漫画です。
漫画の作者の古屋兎丸さんは実際に演劇を観てその魅力に心打たれ、2000年代の漫画化に至りました。
ストーリーは、9人の中学生の少年たちが繰り広げる、
エロティック・グロテスク・デカダンスの三拍子揃った荒唐劇です。
■あらすじ
主人公のゼラは、小学生の頃「30歳で世界を手に入れるか、14歳で死ぬかの運命にある」と占い師に告げられます。
大人を汚いものとして憎む反面、自らの成長を感じる少年。
ゼラは、8人のメンバーのいる「光クラブ」をまとめ、ライチの実を原動力にするロボット、「ライチ」を製作していきます。
そして、鍵になるのが、ライチがさらってくる美しい少女「カノン」。
ライチはロボットながらに心を持ち、カノンに恋心を抱きます。
少年しかいないクラブに、黒髪、長髪、セーラー服の美少女の登場は波乱を巻き起こします。
彼女の登場により、光クラブの崩壊を企む者が現れ、リーダーのゼラはどんどん疑心暗鬼に陥ってしまいます。
ルールを破ったり、それと疑わしきメンバーの粛清がエスカレートしてゆき、メンバーは一人、また一人と減っていってしまうのです……。
未熟故の美しさ、狂気、過ちを激しく描き出した本作は、初めて読んだとき、こんな世界があったのかと衝撃を受けました。
古屋兎丸さんの絵が世界観をぐっと深めているので必見です。
2012年、再び舞台化され、足を運んでみると、漫画から更に発展させた演出で、生の演出に感激しました。DVDも発売されています。
舞台ではシュールな笑いやおふざけの要素が強調され、グロテスクさとぶつかった独特の雰囲気を醸し出していましたが、漫画では少年たちの危うい美しさが強調され、薄暗くも耽美な雰囲気となっています。