少年ジャンプの「基本路線」を作り上げた作品
■作品名リングにかけろ
■作者
車田正美
■巻数
全25巻
■おすすめ理由
私の高校時代から、少年ジャンプは少年向け漫画雑誌としてダントツの売り上げを誇ってきました。アンケート結果によりどんどん連載作品を入れ替える、という非情さで行き着いた物語の基本コンセプトが「正義・友情・勝利」です。
主人公は正義のために戦うが、敵の力は強大。そこに主人公の親友が現れ命を賭して主人公の窮地を救う。そして最後は必殺技で勝利する、というストーリーは分りやすいですが、強力です。
この「基本路線」を作り上げたのが『リングにかけろ』です。
最初は姉と弟のスポ根ボクシング漫画だったのですが、主人公の高嶺竜児が
伝説のパンチ、コーク・スクリュー(作品内の名称はブーメランフック)を身につけたあたりから、
一気に荒唐無稽路線に走り、それが成功しちゃいましたね。
石松のハリケーンボルト、河井のジェットアッパー、支那虎のスペシャルローリングサンダー、
剣崎のギャラクティカマグナムに高嶺のブーメランスクエアー。
最後は単に必殺技の名前を叫んでいるだけで、敵がリングの外に吹っ飛んで行くという、
あり得ない戦闘漫画になってしまいましたが、見事なまでに忠実に「正義・友情・勝利」の三要素が含まれています。
この後のヒット作品は全てこの基本路線を保持しながら、新しいシュチュエーションと必殺技をとっかえひっかえしているに過ぎない、という気がするくらい、強烈でしたね。