マンガ・コミック/口コミでおすすめの60・70年代の少年マンガ

江戸時代の「非人」たちの苦闘の日々 『カムイ伝』

江戸時代の「非人」たちが如何に「人間」であろうとしたか、という苦闘の物語です。「生みの苦しみ」を味わっていた60年代の日本の社会と見事にオーバーラップし、学生運動が盛んな頃、彼らのバイブルとして読まれていたというのがよく分る内容でした。重厚な問題意識を、漫画という飲み込みやすいメディアで表現してくれた見事な作品です。

投稿記事

人間と社会の関係性を考えさせられる作品

■作品名
カムイ伝

■作者
白戸三平

■巻数
単行本:全21巻、文庫版:全15巻

■おすすめ理由
私が一番最初に白戸作品に触れたのはアニメの『カムイ外伝』でした。
「変位抜刀霞斬り」や「飯綱落とし」などの必殺技に胸を熱くしたものです。

長じて読んだのが『カムイ伝』。『カムイ外伝』の主人公カムイがどのような過程を経て必殺技を生み出したのか、という「前日譚」を期待して読んだのですが、全くの期待はずれ。
江戸時代の「非人」たちが如何に「人間」であろうとしたか、という苦闘の物語でした。
学生運動が盛んな頃、彼らのバイブルとして読まれていたというのがよく分る内容でした。

人として生まれたにもかかわらず、当時の社会の体制下では人とは見なされなかった悲しみと苦しみ。民主主義社会が成熟する前の「生みの苦しみ」を味わっていた60年代の日本の社会と見事にオーバーラップします。哲学書に匹敵するような、重厚な問題意識を漫画という、飲み込みやすいメディアで表現してくれた見事な作品でした。


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