クオリティーの高いコメディを作り出す周防正行監督の作品
■作品名『シコふんじゃった。』
■監督
周防正行
■出演
本木雅弘、竹中直人、柄本明、清水美砂、田口浩正、宝井誠明
■DVD販売元
角川エンタテインメント
ユーモアとペーソスを絶妙に織り交ぜ、クオリティーの高いコメディを世に送り出すことで知られる周防正行監督。
その周防監督が、お寺を舞台にした『ファンシイダンス』の次に撮ったのが、大学の弱小相撲部を舞台にした『シコふんじゃった。』です。
父親のコネで就職も決まって、あとは卒業を待つばかりの大学4年の秋平(本木雅弘)。しかし、卒論指導教授の穴山(柄本明)に突然呼び出され、単位と引き換えに穴山が顧問を務める相撲部に一日部員として入部するよう命令される。ところが、その相撲部にいたのはただ一人、8年生の清水(竹中直人)だけ。まだ一度も勝ったことがない弱小相撲部の勝負の行方は……。
主演は、『おくりびと』での演技も記憶に新しい本木雅弘さん。
なんだかんだでやっぱりかっこいいモックンなのですが、20年以上前のこの作品では、ナンパな現代っ子・秋平を、文字通り泥だらけの体当たりで演じています。
そして、清水役の竹中直人さん。爆笑どころをすべてかっさらってます。
竹中さん、本当に面白い!
あの大げさすぎる演技が暑苦しいという評も確かにありますが、暑苦しさもてっぺんまで突き抜ければたいしたものだと思います。個人的には大好きです。
また、教育の名のもとに安易に体罰に走る部活顧問のあり方が問題になっている今日このごろ、穴山教授役の柄本明さんの、静かに教え子を導いていく姿が感動的です。
しぶしぶ入部したはずの秋平が次第に相撲に目覚めていくまでの過程や、部員集めに四苦八苦するエピソードに目新しさはありません。
同じ周防正行監督の『Shall we ダンス?』に比べると、確かに華には欠けるものの、笑うべきところでは思い切り笑え、時にはちょっぴり涙も出ちゃう良質のエンターテイメント。
たとえ相撲に興味がなくても、別に男性のお尻を見たくなくても、楽しく可笑しく鑑賞できること間違いなしです。