人と人との争いが二人を永遠の別れへと導く
■作品名シュリ
■監督
カン・ジェギュ
■主演
ハン・ソッキュ、キム・ユンジン
■DVD販売元
カルチュア・パブリッシャーズ
1999年公開韓国映画です。日本の韓流ブームの火付け役となった映画ではないでしょうか。本国・韓国では「タイタニック」の動員数を超える大ヒットを記録しました。
■あらすじ
韓国の情報部員を務めるユ・ジュンウォンは相次ぐ要員暗殺事件を追っていました。国内ではワールドカップの南北朝鮮統一チームの結成と交流試合の開催に沸いていましたが、北朝鮮の女性工作員「イ・バンヒ」の存在に気づきながらも決定的な手段を欠いていました。一方プライベートではアクアショップを営むイ・ミョンヒョンと婚約し、1か月後に結婚を控え幸せな時間を過ごしていました。
ある日、ついにジュンウォン自身が命を狙われます。ミョンヒョンを安全なところにかくまうのですが、彼女の様子がおかしいことにジュンウォンはとまどいます。そして液体爆弾が強奪され、狙われたのがサッカーの交流試合のスタジアムであることを突き止めたジュンウォンが知った衝撃の事実は……。
ラストシーンでは立て続けに衝撃が走り、悲しい気持ちになりました。
フィクションと分かっていても素直に泣ける映画でした。
お互いにスパイだったからこそ出会った二人
工作員だからこそユ・ジュンウォンと知り合ったイ・バンヒでしたが、うかつにも彼女は本気でジュンウォンのことを愛してしまいます。スパイだったからこそ出会って恋に落ちた二人ですが、同じ民族同士の争いが二人を永遠の別れへと導くことになります。人と人との争いとは本当に悲しいものです。最後にバンヒの優しさがうかがえるシーンが登場します。ジュンウォンを本気で愛し、人としての優しさを持っていたバンヒは完全な殺人鬼になることはできませんでしたが、彼女の人間味や愛の大きさが涙を誘います。
味のある俳優たち
配役が絶妙です。主演のハン・ソッキュや同僚役のソン・ガンホは渋い魅力を持っています。キム・ユンジンも芯が強くも優しい悲劇のヒロインにぴったりでした。スナイパーとして暗殺する姿さえ凛とした美しさがあり、魅力を感じます。ちなみに「シュリ」は、南北の国境に流れる河川に生息する淡水魚の名前です。実際には「シュウィリ」のように発音しますが、日本人にはなじみのない発音であることから「シュリ」とされたと想像されます。