インド独立運動の志士が伝えたカリー
言わずと知れた印度式カリーの名店、「新宿中村屋」レポートを最初とさせて頂きます。歴史も古く、インドカレー料理の要素をダイレクトに取り入れた日本ではじめての店ではないでしょうか。その理由はインド独立運動の志士(フリーダムファイター)、ラス・ビハリ・ボース氏が起因しています。中村屋の創業者がボース氏を官憲からかくまい、その後、中村屋を出て逃亡生活をすることになったボースは、献身的に支えた創業者の娘、俊子と結婚。当時の日本では欧風カレーが主流でしたが、祖国インドの本場の味を日本人に伝えたい一心から生まれたカリーなのです。食べる時鼻でインドスパイスが香り、舌でスパイシーさを最初に感じえる料理を日本で紹介したのではないかと思われます。それが昭和2年なのだから驚きです。そのボース氏を師事していたのが私の祖父でもあり、イギリスからの独立のために共に戦っていたのです。
恋と革命の味と書かれたメニューで、昭和2年から伝わるカリー「中村屋純印度式カリーのサラダ・ドリンク付セット」は、ここ新宿中村屋に来たら毎回、襟を正す気持ちで注文をします。
サラダをつけるのは理由があります。8種の野菜サラダはよく冷えていてカリーとの食べ合わせがよく、カリーとライスを一緒に食べた後にフレンチドレッシングの酸味がかった冷えたきゅうりを食べると、また口の中に違う食感とフレンチドレッシングとカリーの混ざり合う味わいを感じることができます。それを8種もの野菜でバラエティー豊かに楽しめるのです。
注文したカリーセットが運ばれてくると、とりあえずライスにカリーを全てかけます。そしてチーズをカリーに振りかけて濃厚な味に自分でアレンジできる醍醐味を味わってみてください。チーズを頃合いよくかけるのがコツです。かけ過ぎたら、スパイシーさが落ちてしまうので注意してください。その後の本来のカリーのスパイシー味が欠落してしまうと、色んな食べ合わせでの楽しみが減ってしまう事もあります。
薬味皿3点盛りをカリーとうまく食べ合わせる
そしてもう一つ重要なお皿を紹介しなければならない。それは薬味皿です。
日本とロシアの漬けものを真ん中にインドの漬けものが囲んでいて、漬けものとカリーとの組み合わせにも中村屋はこだわりがあります。マンゴーのチャツネは日本の福神漬けのようなものでオイルと辛味スパイスのソースにマンゴーを漬込んだものです。カリーと混ぜて食べるとまた違う深い味わいになり、新たなカリーの味の扉を開くことができます。またその扉を閉めて、カリーライスにらっきょうとアグレッツィを混ぜ入れ、カリッと酸味の食感とカリーを食べるとまた新たな扉を開き満喫するなど、食べ合わせの選択肢は色々あります。しばらくの間カリーソースがからまった大きな骨付きの鶏肉にむしゃぶりつき、辛味と爽やかな味わいのオニオンチャツネで箸休めをしてもいいですね。
■新宿中村屋
・住所:東京都新宿区新宿3-26-11 新宿高野ビル6F
・TEL:03-3352-6167
・営業時間:11:00~22:00(L.O.21:30)
・定休日:なし(ただし新宿高野本店の休業日に順ずる)
(1月1日、4月・10月 各第三月曜日)
・地図:Yahoo!地図情報