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新スマートタウン開発in浦安 液状化対策にも注目!(2ページ目)

東日本大震災で大規模な液状化被害に見舞われた千葉県浦安市。そこで震災後初となる大型戸建て住宅分譲地「ジ・アイルズ」が開発されています。今回の記事はその分譲地を事例に、液状化対策とスマートタウンのあり方について考える内容です。

田中 直輝

執筆者:田中 直輝

ハウスメーカー選びガイド

スマートタウンとは、スマートハウスの集まりのことをいいます。これまでその開発は、単独のハウスメーカーで行われるものばかりで、複数のハウスメーカーが共同で行う事例はありませんでした。もっとも、スマートハウス自体が2011年の東日本大震災以降に世の中に登場した住まいのスタイルであり、まだ2年ほどの歴史しかないことを考えれば当然のことかもしれません。

初の複数ハウスメーカーによるスマートタウン開発

ここでスマートハウスについておさらいしておきましょう。スマートハウスは一般的に太陽光発電システムや蓄電池などのスマートアイテムを搭載し、省エネに貢献する住宅として認知されているように思います。しかし、スマートハウスは単なる省エネ住宅ではありません。もっと暮らしを豊かに快適にすることを目的とした住宅なのです。

HEMS

帯端末に表示されたHEMSの画面。エネルギーに関することだけでなく、将来的には様々な生活サービスについて情報のやりとりに活用されることになるだろう(クリックすると拡大します)

カギを握るのがHEMSの存在です。現在は、太陽光発電システムの発電や外部への売電の量、蓄電池の蓄電量、電力会社から電力を購入している量などを把握できる、エネルギーの「見える化」ツールとして知られています。ハウスメーカーとインターネットでつながっていて、省エネのアドバイスなども受けられるケースもあります。

各家庭内のエネルギー使用や発電、蓄電の動向を細かく把握できますから、ユーザーそれぞれはエネルギー消費の無駄な部分がわかりやすく、それにより省エネ・節電意識が高まり経済的な暮らしがしやすくなります。そして、HEMSを中核としたシステムを導入したスマートハウスが数多く集まるスマートタウンにおいては、一般的な街に比べより高度な省エネを実現できるというわけです。

さて、スマートハウスの代名詞的な存在がHEMSとなり、それは「ホームエネルギーマネジメントシステム」の略称です。エネルギーという言葉が使われていることから、省エネアイテムと思われがちですが、実はその機能は省エネだけに留まるものではありません。

というのも、インターネットでハウスメーカーなど外部とつながるわけですから、様々なことに利用可能なのです。例えば、ハウスメーカーとのつながりでしたら、メンテナンスなどアフターサービスの窓口として機能します。さらには行政や医療機関、各種企業との窓口として利用することなども。このようなことが一部では試行、運用が始まっています。

スマートタウンや街づくりの新たな可能性を模索

つまり、私たちが様々な生活サービスを受けるための窓口としてHEMSの存在が期待されるわけ。スマートハウスが集まるスマートタウンはその導入効果がより大きくなるはずなのです。例えば、HEMSを通じて街全体で防災情報を一括管理し共有できれば、その街は防災の点でより安心できる街になるでしょう。普段の防犯などにも役立つはずです。

住戸内の様子

各住戸には、通風や採光への配慮といった様々な工夫が盛り込まれている。モデル住戸を見学するだけで、それぞれのハウスメーカーの個性も見えてくるので、興味がある方は是非見学されたい(クリックすると拡大します)

このようにスマートタウンには、住民生活をより向上させる様々な仕組みが期待されます。その仕組みを「ジ・アイルズ」においてどのように構築していくのか、というのが私が興味を持っている点です。その中で最も大きな課題となるのが、HEMSから蓄積される情報を誰がどのように生かすのかということです。

HEMSには色々なメーカーが製造・販売しているものがあり、その情報は各ハウスメーカーごとに製造メーカーのデータセンターが管理しています。ちなみに、今回の「ジ・アイルズ」では3社が異なるHEMSを導入し、データセンターも異なります(ただし、トヨタホームとミサワホームは同じデータセンターを活用)。

このような状況ですから、分譲地の中でそして浦安市全体で情報がどのように活用され、住民サービスに生かされるのかは、これからの状況なのだと思われます。ただ、浦安市は「環境共生都市」という新たな街のあり方に舵取りを行っているそうです。

ですので、「ジ・アイルズ」はこれまでにないスマートタウンの新たな姿を私たちに示してくれる可能性があります。それを、行政と「ジ・アイルズ」を開発する3社、さらには市民がどのように連携し実現していくのか、私には非常に興味深いのです。
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