初の複数ハウスメーカーによるスマートタウン開発
ここでスマートハウスについておさらいしておきましょう。スマートハウスは一般的に太陽光発電システムや蓄電池などのスマートアイテムを搭載し、省エネに貢献する住宅として認知されているように思います。しかし、スマートハウスは単なる省エネ住宅ではありません。もっと暮らしを豊かに快適にすることを目的とした住宅なのです。カギを握るのがHEMSの存在です。現在は、太陽光発電システムの発電や外部への売電の量、蓄電池の蓄電量、電力会社から電力を購入している量などを把握できる、エネルギーの「見える化」ツールとして知られています。ハウスメーカーとインターネットでつながっていて、省エネのアドバイスなども受けられるケースもあります。
各家庭内のエネルギー使用や発電、蓄電の動向を細かく把握できますから、ユーザーそれぞれはエネルギー消費の無駄な部分がわかりやすく、それにより省エネ・節電意識が高まり経済的な暮らしがしやすくなります。そして、HEMSを中核としたシステムを導入したスマートハウスが数多く集まるスマートタウンにおいては、一般的な街に比べより高度な省エネを実現できるというわけです。
さて、スマートハウスの代名詞的な存在がHEMSとなり、それは「ホームエネルギーマネジメントシステム」の略称です。エネルギーという言葉が使われていることから、省エネアイテムと思われがちですが、実はその機能は省エネだけに留まるものではありません。
というのも、インターネットでハウスメーカーなど外部とつながるわけですから、様々なことに利用可能なのです。例えば、ハウスメーカーとのつながりでしたら、メンテナンスなどアフターサービスの窓口として機能します。さらには行政や医療機関、各種企業との窓口として利用することなども。このようなことが一部では試行、運用が始まっています。
スマートタウンや街づくりの新たな可能性を模索
つまり、私たちが様々な生活サービスを受けるための窓口としてHEMSの存在が期待されるわけ。スマートハウスが集まるスマートタウンはその導入効果がより大きくなるはずなのです。例えば、HEMSを通じて街全体で防災情報を一括管理し共有できれば、その街は防災の点でより安心できる街になるでしょう。普段の防犯などにも役立つはずです。各住戸には、通風や採光への配慮といった様々な工夫が盛り込まれている。モデル住戸を見学するだけで、それぞれのハウスメーカーの個性も見えてくるので、興味がある方は是非見学されたい(クリックすると拡大します)
HEMSには色々なメーカーが製造・販売しているものがあり、その情報は各ハウスメーカーごとに製造メーカーのデータセンターが管理しています。ちなみに、今回の「ジ・アイルズ」では3社が異なるHEMSを導入し、データセンターも異なります(ただし、トヨタホームとミサワホームは同じデータセンターを活用)。
このような状況ですから、分譲地の中でそして浦安市全体で情報がどのように活用され、住民サービスに生かされるのかは、これからの状況なのだと思われます。ただ、浦安市は「環境共生都市」という新たな街のあり方に舵取りを行っているそうです。
ですので、「ジ・アイルズ」はこれまでにないスマートタウンの新たな姿を私たちに示してくれる可能性があります。それを、行政と「ジ・アイルズ」を開発する3社、さらには市民がどのように連携し実現していくのか、私には非常に興味深いのです。