大手ハウスメーカー3社が共同で開発
その分譲地は、浦安市日の出地区の「THE ISLES(ジ・アイルズ)」(開発面積約3h、当初計画では130区画、最終的には500区画程度になる予定)です。トヨタホームとパナホーム、ミサワホームの3社が共同で開発。11月から第1期の販売がスタートします。その説明会と現地見学会が今月7日に行われ、私も参加してきました。首都圏中心部で交通や住環境に優れた希少な立地であること、震災後の浦安市における大規模戸建て分譲であるということはもちろんですが、それ以外に私は二つの点に注目していることがあります。それは「液状化対策」と、「初の複数ハウスメーカーによるスマートタウン開発」という点です。
まず、液状化対策について見てみましょう。東日本大震災の発生時に浦安市でなぜ液状化被害が発生したかというと、それはご存じのように浦安市が埋め立て地の開発で拡大をしてきた街だからです。当時は、新浦安駅周辺でも地盤沈下で傾いた住宅が数多く見られました。
ただ、浦安市にある埋め立て地の全ての場所が液状化被害を受けたわけではありません。ほとんど被害がなかった場所もあります。被害に違いが表れたのは、埋め立て工事時の工事の仕方、つまり区画によって工事の内容が異なっていたためだといわれています。
「ジ・アイルズ」の開発地は宅地の造成自体は震災前に終わっており、東日本大震災にあたっても液状化が発生していなかったといいます。しかしこの分譲地では、さらに地盤を強固にするための液状化対策工事を施しているのが特徴なのです。
戸建て分譲地には珍しい液状化対策工事を実施
これは大手建設会社・熊谷組による「SAVEコンポーザー工法」(静的締固め砂杭工法)と呼ばれる工事。道路を含めた分譲地全体に砂くいを碁盤状に打ち込むことで、地盤を強化するものです。国の指針を上回る取り組みだといいます。ビルやマンションなどの建設にあたって液状化対策工事を行うことは珍しくないのですが、戸建て分譲地でこの工事を実施するのはおそらく日本初の事例だろうと思います。ここにこの分譲地の最大の特徴があるのだと思われます。
このほか、首都圏直下型地震で想定されている津波に対しても、想定される津波の高さより高い位置に立地するため、浸水の被害を受ける可能性が少ないとされています。また、街区には防災品を備蓄する「自立型スマート防災集会所」を設置するなど、災害に強い街づくりを目指しているのも特徴です。逆にいえば、このような備えを盛り込まなければいけないほど、浦安市の地盤に対する信頼はダメージを受けたといえるのではないでしょうか。
さて、東日本大震災から2年半が経過した浦安市ですが、当時よりはだいぶん復旧が進んでいるものの、未だに液状化に伴う道路工事が行われるなど、まだまだ震災の傷跡はそこかしこにみられます。現地にいないとわからないことですが、ここも「被災地」なのであり、復興の途中なのです。
ですから「ジ・アイルズ」という分譲地は、震災からの復興の象徴として位置づけられるように感じられました。次のページでは大手ハウスメーカー3社による初のスマートタウン共同分譲という側面から、この分譲地について考えていきたいと思います。