基 礎
【きそ】建築物の荷重を支えるために設けられる下部構造を総称して「基礎」という。一般の住宅で用いられる「直接基礎」には「布(ぬの)基礎」「べた基礎」「独立基礎」などの種類があり、木造住宅の大半は「布基礎」または「べた基礎」のどちらかである。
「布基礎」といっても決して布製の基礎ではなく、たいていは鉄筋の入ったコンクリート製の基礎である。「布」にはもともと、水平、平行、横、平らなどの意味があり、建物に平行に並べた石敷きのことを「布敷」ともいう。
そして、壁や土台を造るために溝状に根切することを「布掘り」といい、「布掘り」した箇所に造る基礎が「布基礎」である。「布基礎」の断面はI字または逆T字状で、これが連続した構造になっている。
なお、逆T字の底面部分をフーチングといい、この形状のものを「フーチング布基礎」と呼ぶこともある。
一方、「べた基礎」は建物の下部にあたる部分全体を鉄筋入りのコンクリート盤とする構造で、これも建物部分の全面を根切(総掘り)することを「べた掘り」ということからきており、この「べた」は「べた負け」「べた惚れ」の「べた」と同じだ。
「布基礎」よりもやや弱い地盤に適した強固な「べた基礎」だが、その自重が大きいために地盤によっては不向きのこともある。
「独立基礎」は古い民家や寺社などでときおりみられるもので、それぞれの柱の下に大きな石を敷いたような形態の基礎である。「独立基礎」を造るために柱を立てる部分だけ丸く掘ることは「壷掘り」といい、上記の例にならえば「壷基礎」ともいいそうだが、それはないらしい。
なお、地盤が軟弱な場合には「深基礎」構造にしたり、「直接基礎」ではなく「杭基礎」や「柱状改良杭」「鋼管杭」にしたり、地盤そのものの改良工事を実施したりすることが必要。