目が離せなくなるほどの緊張感あふれる作品
■作品名『東京裁判』(83)
■監督
小林正樹
■声の出演
佐藤慶
■DVD販売元
キングレコード
■おすすめの理由
この映画は、終戦後の昭和23年に行われた極東国際軍事裁判(通称、東京裁判)の模様を、アメリカの国防総省が撮影したフィルムを編集したものです。
そこに、裁判の内容に沿った事件や出来事を記録した映像も挿入し、明治以降、軍事国家となっていった日本の近代史を総括していきます。
そして、戦争責任や、戦争と国家あるいは個人との関係を問い掛けながら、戦勝国が敗戦国を裁く矛盾も突きます。
上映時間は4時間30分余に及びますが、退屈するどころか、緊張感あふれる画面から目が離せなくなります。
あらためて映像が持つ力の強さを思い知らされます。
監督は『人間の条件』(59)などで知られる小林正樹、音楽は武満徹、大ベテランの編集者・南とめが膨大な量のネガ編集を担当しました。
個性派俳優として知られた佐藤慶の感情を抑制したナレーションも絶品です。
最近公開された『終戦のエンペラー』は、この裁判の最大の論点だった天皇の戦争責任とマッカーサーについて描いていますので、対で見ることをお薦めします。