ベビーマッサージ講座をする中で、参加されたお母さんたちから「ベビーマッサージはいつまでするものですか?(できるものですか?)」という質問をしばしばいただきます。私は「いつまででも続けてください」とお伝えしています。

ベビーマッサージを通した肌と肌のふれ合いには、赤ちゃんの心や体の発達への効果だけではなく、幼児期や学童期にこそ親を助けてくれる力があるのです。今回は、肌と肌の濃いふれ合いが赤ちゃん期にもたらす効果を踏まえながら、幼児期、学童期、そして家族のコミュニケーションに波及する力についてお話します。

新生児育児でベビーマッサージに期待するものは?

ベビーマッサージクラス

ベビーマッサージクラス。参加動機で多く聞かれるのは「泣き」や「寝かせつけ」。

私は、ベビーマッサージ講座で実践に入る前に必ず、参加動機や赤ちゃんのお世話の中で感じていることを全員に話していただいています。その中で毎回といっていいほど聞かれるのは「赤ちゃんが泣いてばかり」「寝かしつけに苦労している」などの声です。新生児期を過ぎて生後半年ぐらいまでの間に、少しずつ眠りのリズムがついてきたり、周りの働きかけに豊かな表情を見せるようになったりしてきますが、一方で、泣くという形で様々な意思表示をするようになり、寝かせつけにも苦労する場合もあります。そんな時に行き詰まりを感じ、ベビーマッサージに糸口を探しに来る方も多いようです。

泣き、寝かせつけ…… 赤ちゃんへのベビーマッサージの効果

ベビーマッサージは、「ベビーマッサージを始めたら泣かなくなった、寝つきがよくなった」とすぐに効果が出るものではありませんが、継続することで次のような効果が期待できます。

■赤ちゃんに心の安定をもたらす
肌と肌のふれ合い

少し意識して、声をかけながらふれ合う時間。

ベビーマッサージは、体のコリや疲れを取る大人へのマッサージとは違います。常に声をかけながら、手のひらいっぱいを使って、肌を優しく撫でてあげることがポイントです。声をかけながらの濃密なスキンシップを続けることで、赤ちゃんに心の安定がもたらされます。それによって、寝つきがスムーズになったり、ひたすら泣き続けたりということが減ることも期待できます。

ただ、0歳の時期は、成長につれて周りへの人や物や音への関心が急激に育つ時期。そういった成長に欠かせない刺激を全身で受け止めるためにも、泣くという手段が使われます。そして、そのような時期だからこそ、たくさんの声がけを伴うふれ合いの刺激が、周りへの関心を広げ、半年後、1年後に出てくる言葉を自分の中にためることにもつながります。

■マッサージする側へのリラックス効果
ベビーマッサージを初めて体験したお母さん、お父さんたちから、「気持ちいい」「マッサージをしているうちに汗をかいてきた」という言葉が聞かれることが少なくありません。赤ちゃんの肌にじっくり触れることには、触れる側へのリラックス効果もあることを実感していただいたこその感想です。

小谷博子さんという育児工学者が、ベビーマッサージのもたらす効果について研究しています。育児工学とは「サーモグラフィや脳波計などを用いることで、育児方法を科学的に検証する」分野。小谷さんの実験では、ベビーマッサージをする親の側に、血圧や心拍の低下、ストレスホルモンの量の低下、体の表面の温度が上昇するなど、リラックスした状態がもたらされていることが実証されているそうです。

また、日々密接にお世話をしているお母さんでも、赤ちゃんの体全体をじっくり見て、小さな変化を細やかに感じることは難しいものです。そのような体験は、育児への自信にもつながります。マッサージする側の心の余裕は、赤ちゃんにも直に伝わり、相乗効果が生まれます。

>>ベビーマッサージの経験が、幼児期・学童期の子育てにくれるヒント