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グロソブが純資産総額トップから陥落

長らくわが国最大の純資産残高トップに君臨していた国際投信投資顧問が運用する「グローバル・ソブリン・オープン(毎月決算型)」。一時期は世界でもトップ5に入るほど巨大な投資信託に成長したにもかかわらず、ついに国内首位の座を明け渡すことになりました。グローバル・ソブリン・オープン(毎月決算型)凋落の背景を探ってみることにしましょう。

深野 康彦

執筆者:深野 康彦

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トップが交代したのは2013年6月下旬

投資信託の代名詞として、一世を風靡した「グローバル・ソブリン・オープン(毎月決算型)」、通称「グロソブ」が純資産総額第1位の座を明け渡したのは2013年6月です。抜きつ抜かれつという状況なので、何日とは断定しにくい状況ですが、6月の下旬から鮮明に2位に陥落したといえます。
純資産総額の推移

純資産総額の推移


グローバル・ソブリン・オープン(毎月決算型)から首位を奪ったのは「日経225連動型上場投資信託」(1321)です。正確にはETFなので、純然たる株式投資信託の中ではグローバル・ソブリン・オープン(毎月決算型)が第1位ですが、投資信託という広義のくくりで第2位となったわけです。

簡単にそれぞれの商品性に触れておきましょう。グローバル・ソブリン・オープン(毎月決算型)は、1997年12月18日に設定されました。

世界主要先進国の、信用力の高いソブリン債券(国債や政府機関債等)を主要投資対象とし、国際分散投資を行います。安定的な利子収入の確保と、金利・為替見通しに基づく運用戦略により、収益の獲得を目指して運用が行われ、毎月分配金が支払われています。直近の2013年8決算期には、1万口当たり35円の分配金が支払われています。

一方、日経225連動型上場投資信託は、野村アセットマネジメントが運用会社しています。日経平均株価に連動した運用の成果が期待できるETFで、2001年7月9日設定(上場は7月13日)されています。2013年7月決算期の分配金は、10口当たり1870円となっています。

トップが交代した背景

商品性は異なるタイプの投資信託ですが、日経225連動型上場投資信託が躍動したというより、グローバル・ソブリン・オープン(毎月決算型)の人気離散が止まらないというのが真相と思えてなりません。

依然として毎月分配型投資信託の是非が問われているものの、投資信託全体の純資産総額を見ると、毎月分配型投資信託のシェアがかなり高いことがわかります。一時期は、毎月分配型投資信託でなければ売れないといわれていた程だったのです。

グローバル・ソブリン・オープン(毎月決算型)は、2008年7月の最盛期に純資産総額5兆7000億円もの規模を誇りました。にもかかわらず5年強で約4兆4000億円資産を減らしてしまったのは、影に日向に純資産総額第1位という宿命(報道に翻弄された)を負っていたからのような気がします。

2001年1月決算期から1万口当たり40円の分配金が支払われ続けていたのですが、純資産総額がピークを付けた半年後の2009年1月決算期から分配金は30円に引き下げられたのです。約8年間分配金額は変わらなかったのですから、投資家にとっては寝耳に水状態だったのかもしれません。

当然、純資産総額第1位の商品であることから、かなりの数の分配金減額についての報道がなされたはず。当時は、リーマンショックの傷が癒えていませんでしたから、報道が増すほどに投資家の不安感は高まる一方でした。

しかし、同年8月の決算期からは分配金は一転して35円に引き上げられました。これで投資家は落ち着くのではと思った矢先、2010年5月にはギリシャショックが発生。このとき、グローバル・ソブリン・オープン(毎月決算型)は、ギリシャ国債を保有していたのです。早期にギリシャ国債を処分したのですが、ギリシャのほかに、スペイン国債、イタリア国債なども保有していたことから、投資家もいよいよ見切りを付けた感があるというのが背景の1つです。

投資家が高い分配金を欲するようになった

また、リーマンショックの傷が癒え始めたころには、投資家の考えが「どうせ分配金は増減するのだから、もらえるうちに高い分配金をもらおう」というスタンスをとる人が増えたことも要因でしょう。

グローバル・ソブリン・オープン(毎月分配型)が隆盛を誇っていたときには、1万口当たり100円以上の分配金を出す投資信託はあまりなかったのですが、通貨選択型などの登場により毎月100円は当たり前、中には毎月250円などという高額の分配金を支払う投資信託さえあったのです。

時を同じくして、円高が進んだことも投資家が嫌気した原因と考えられます。グローバル・ソブリン・オープン(毎月分配型)は、為替ヘッジを行っていない商品であるため、円高の影響をかなり受けたのです。投資家に取ってみれば、少ない分配金の割に為替の影響は大きいと考えたことも要因としてあげられるのでしょう。

これらさまざまな要因により、投資家の人気が離散し投資資金が流出したことにより安定した運用ができにくくなったことも純資産総額の減少が止まらない要因と思われます。2013年8月30日基準のマンスリーレポートを見ると、確かに過去半年の騰落率はマイナスとなっていますが、他の投資信託でも変わることはありません。むしろ、高額の分配金を支払っているものよりは、マイナス幅は小さいといえます。

1年では16.2%、3年では18.3%の騰落率なので意外と健闘はしていると思われますが、それでも純資産総額の減少に歯止めがかかっていないように見受けられます。純資産総額第1位を明け渡したのはETFですが、いよいよ株式投資信託の中での首位を明け渡す日、つまり本当の首位陥落が近づいているのかもしれません。

※図は筆者作成。2013年5月から9月第1週にかけての純資産総額の推移
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