もし、生まれ変わるなら
「表現の部分はトレーニングになるけど、ネタというか素材を集めてギュウギュウに圧を高める時間も必要だと思うんです」と柴門ふみさん
柴門:映画からインスピレーションを受けるっておっしゃってたけど、音楽からは?
中居:昔、小室哲哉とかグローブ風の歌詞を書いていたことがあって、生まれ変わるなら歌手になりたいくらいです。
柴門:私も音痴じゃなかったら歌手になりたかったですね。
中居:ライブ出来るのがいいですよね。お客さんを前にしてその場で、自分の作った歌を体を通して表現できるじゃないですか。いいですよね。
柴門:私の原点はサイモン&ガーファンクルですもん。サイモン&ガーファンクルになりたかったんですよ。でも、音痴でギターも弾けないことに気づいて、その世界を漫画で表現しようと思って。でも漫画を描くのは歌うほど楽しくはないわけですよ。肩もこるし、歌うって本当に楽しいと思いますよね。
中居:生まれ変わるなら私も歌手になります! でも、今はやっぱり息の長い作家になりたいと思うんです。コツはありますか?
柴門:漫画の場合、絵を描くのはピアノやバレエと一緒で毎日続けていないとダメなんです。でも、ストーリー作りの部分はインプットして素材の密度を濃くして、圧が高まってから書くほうがいいかもしれません。
中居:圧をかける?
柴門:そう、表現の部分はトレーニングになるけど、ネタというか素材を集めてギュウギュウに圧を高める時間も必要だと思うんです。
中居:書き続けるためには、ストーリー作りは休んでもいい。書かない時間があると焦ってしまうこともあるんですけど。
柴門:でも、中居さんはとにかく武器をたくさん持っているので、器の小さい男や温度の低い恋愛とか、いまどきの女性の痛みみたいなものは間違いなく書けますし。
中居:持っているものしか書けないので、技術というよりも感性の部分で堂々とやっていきたいと思っているんですけど。
柴門:小室さんに熱狂した少女時代の話とか作品にするのも面白いかもしれないですね。1990年代の、バブルとも違う勢いのある、あの文化の中で何を思っていたのかとか。
中居:そうですね。表現のトレーニングにも励んで。
柴門:文章だけで目の保養になるようなイケメンも書いてほしいですね。
面白い色気のあるイケメン、ぜひ書きましょうよ。
中居:はい。今日はありがとうございました。
柴門:ありがとうございました。ほんと、応援しています。
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