キッズデザイン賞ってどんな賞?
7月にキッズデザイン賞の発表があり、受賞した企業からその内容の発表が相次ぎました。ハウスメーカーも数多く受賞。中でも、7月の末には各部門の優秀賞(総理大臣賞や経済産業大臣賞など)が発表され、私はその取材にも参加しました。各賞の受賞者は後ほど紹介するとして、少しキッズデザイン賞について詳しく説明しておきます。内閣総理大臣賞を受賞したJVCケンウッドとNPO法人Earth Literacy Programによる「触れる地球 中型普及版」。クールジャパン的という点も高い評価につながったようだ(クリックすると拡大します)
また「子どもが安全に暮らす」「子どもが感性や創造性豊かに育つ」「子どもを産み育てやすい社会をつくる」ための製品・空間・サービスで優れたものを選び、広く社会へ伝えることを目的としています。要するに子育てや教育などを含めた子どもの成長に関わる賞といえます。
似たような顕彰制度に「グッドデザイン賞」がありますが、こちらは1957年(昭和32年)に創設された「グッドデザイン商品選定制度」(Gマーク制度)が前身で、「生活と産業の質の向上に貢献するデザイン」を選出するものです。一方、キッズデザイン賞は2006年(平成18年)に創設された比較的新しい賞といえます。
ちなみに、グッドデザイン賞についてもハウスメーカーはもちろん、工務店や建築事務所なども積極的に応募し、数多くが受賞しています。近年になってその受賞の重みがやや薄れてきた感がありますが、それでも何年も連続して受賞しているハウスメーカーもあり、私たち消費者がデザイン性の高さを判断する上で、一つのバロメーターになるとは思われます。
初の「内閣総理大臣賞」を受賞したのは…
話をキッズデザイン、キッズデザイン賞に戻しましょう。キッズデザイン賞は今年で7回目になるのですが、初めて最優秀賞「内閣総理大臣賞」が創設されたのが特徴です。7月29日に表彰式が行われ、各賞が決定しました。その中で内閣総理大臣賞を受賞したのは、〈子どもの未来デザイン 感性・創造性部門〉の「触れる地球 中型普及版」(株式会社JVCケンウッド/NPO法人Earth Literacy Program)でした。これは、各研究機関からリアルタイムに提供される情報を表示し、地球環境の過去・現在・未来が可視化する装置。子供が地球儀を模した球体のインターフェイスを回すことで、好奇心と向学心を喚起することができるのが特徴です。
審査員の評価では、「子どもたちにグローバル時代の気づきと学びを与える、日本発の画期的な情報リテラシーツール。日本の先端的な、超硬アクリルなどの材料技術、加圧センサーなどの情報技術を導入することで、高精細な映像や操作性を実現しており、クールジャパンな情報メディアとして海外への普及も期待できるキッズデザインプロダクトとして高く評価したい」とされています。
審査員評にもあるように、国がこの賞を我が国独自のモノの判断基準として、その中で選ばれた製品を積極的に海外に展開しようという「クールジャパン戦略」に基づく意思が反映されていたように思います。グッドデザイン賞と比べて知名度が低く、まだ参加企業も少ないキッズデザイン賞ですが、このように国としても今後はその評価を高めようとしているようです。
さて、ここまではキッズデザイン賞の大まかな内容と、近年の方向性についてご説明しましたが、このガイド記事は住まいがメインテーマです。次のページでは、今年のキッズデザイン賞で印象的だった住宅関連の受賞作品についてご紹介します。