オーク銀座レディースクリニック
今回は、大阪で3院を展開している医療法人オーク会グループ初の東京院、オーク銀座レディースクリニックでお話を伺う機会に恵まれました。左から船曳先生、太田先生、田口先生です。
銀座駅から徒歩3分、有楽町駅からは徒歩5分という、とてもアクセスの良い場所に開院されたきっかけやクリニックの様子、これからどんな治療を進めていかれるのかをお伺いしました。
ご対応いただいたのは、オーク銀座レディースクリニックで診療を担当されていらっしゃる田口先生、船曳先生、そして太田先生です。どのお話も、パワフルで興味深いものばかりでした。さっそくインタビュー内容をご覧ください。
オーク銀座レディースクリニックでのインタビュー
―今回、東京で開院されたきっかけについて教えてください。田口先生:
大阪のクリニックまで、東京からわざわざ患者様が来られていたということがきっかけですね。また、転勤などで大阪から東京に行かれる方も多いので、東京での開院を考えるようになりました。
太田先生:
東京に限らず、関東周辺や山梨、名古屋といったところから大阪まで通っておられた方もたくさんいらっしゃいます。東京に拠点があれば、出張などで滞在されている間は、東京で診察を受けることができるというメリットもあります。
―開院されてから、患者さんの反応はいかがでしょうか。
田口先生:
昨年の10月にオープンして、半年を超えましたが、患者様は増えてきていますね。他の施設で単一の刺激しかなかったので、もう少し違った治療を受けたい、といった少し行き詰った方が多いでしょうか。こういった、他のクリニックで治療されていて転院されてこられる方が半数、それ以外の方が半数といったところですね。
エントランス部分です。
―なぜ、銀座という立地で開院されたのでしょうか。
田口先生:他のエリアでも探したのですが、自家発電装置が整っていて医療ビルとして使えるようなところは少なかったですね。特に、トイレがクリニック内に設置できず、ビルの共用トイレしか使えないなど、条件が合わないところが多かったです。採卵後、術衣のまま外に出ていただく訳にはいきませんからね。
そういった場所を探していたところ、たまたま銀座だったという感じです。また、スタッフが大阪と行き来しますので、アクセスの良い場所という点も理由のひとつでした。
船曳先生:
アクセスの面から、駅からすぐ近くの場所を考えていました。当院は、海外から来られる患者様もいらっしゃいますので、世界のトップレベルの治療を行いたいという意味も込めて、銀座という土地を選びました。
―海外というのは、どちらからいらっしゃる方が多いのでしょうか。
船曳先生:日本で勤務している外国人の患者様もいらっしゃいますし、海外から来られる患者様もいらっしゃいます。海外から来られる場合は、韓国や中国など、アジアに勤務されている欧米人が多いですね。
田口先生:
当院は、大阪にイングリッシュヘルプデスクがあり、イギリス人やアメリカ人、中国人のスタッフが対応しています。イギリス人のスタッフは、イギリスにおける胚培養士の資格を持っています。
太田先生:
東京でも、英語がOKというクリニックは少ないですよね。
田口先生:
最近では、国際結婚も多くなってきており、ご夫婦のどちらかが外国の方、というケースも増えています。当院では、ご夫婦に日本語と英語それぞれの言語で説明することができますので、それを望まれて来院される方もいらっしゃいます。
エントランス部分です。
―大阪のクリニックでは、体外受精のほかに卵子凍結もされていましたが、こちらのクリニックでも同じような治療が受けられるのでしょうか。
船曳先生:もちろん、銀座でも卵子凍結を行っています。本院のオーク住吉産婦人科と同様、国際水準のリプロダクションセンターを備えているので、本院で行っている治療はこちらでも行うことが可能です。
田口先生:
そうですね。患者様の情報は、電子カルテで大阪・東京の全てのドクターで共有し、症例について検討しています。
また、当院には、エデュケーションセンターがあり、培養士はそこでトレーニングができるようになっています。実際の診療で使用する全ての機械が揃っていて、ダミーのカルテもあります。
エデュケーションセンターでトレーニングを受け、一定の基準を満たさなければ現場に出ることはできませんので、培養士は数ヶ月ほど缶詰め状態ですね。
自転車に乗ることと一緒で、何回も失敗しなければ上手くなりませんが、はじめから患者様の卵を扱わせることはできません。そのため、十分なトレーニングを行ってから、実務をするという形を取っています。
待合室の様子
―太田先生が、オーク会で診療されるようになったきっかけについて教えてください
太田先生:私はもともと、都内の別の不妊クリニックに勤めていました。そこで、十分に経験を積んだので、別のやり方をみてみたいと思ったのがきっかけです。
東京では低刺激の不妊治療を行うクリニックが多いのですが、オーク会では高刺激をメインに行っています。やはり、卵が取れる人にとっては、高刺激が絶対にいいと思っていますので、そういったコンセプトのクリニックのほうが、自分のやり方にマッチしていると感じました。
田口先生:
患者様がきちんと妊娠するようにしてあげなければいけないですよね。
少し偏った治療方法ばかり行なうことは良くないと感じています。
―東京は患者さんの数が多いので、たくさん来院されるかと思いますが、受け入れ態勢についてはいかがでしょうか。
当院は、人数などを制限しているわけではないので、たくさん来ていただいても大丈夫です。もちろん、大阪も同じです。初診で2ヶ月待ちといったところもあるようですが、当院では初診は予約なしでお越しいただけます。来院して3日後に採卵ということもありますよ。
培養室の様子
―不妊治療に関するセミナーなどの啓蒙活動はされているのでしょうか。
船曳先生:大阪では、オーク住吉産婦人科内で、毎月体外受精セミナーを、そして2ヶ月に1回、卵子凍結セミナーを行っています。現在は、大阪と東京で中継でセミナーを行えるよう準備中です。
銀座でも、Web上で大阪のドクターのカウンセリングを受けていただくことができますし、コーディネーターに治療の悩みなどを相談していただくことも可能です。
―東京と大阪と行き来されているので、大変お忙しいのではないでしょうか。
田口先生:
大丈夫ですよ。大阪から来て東京に何週間か滞在し、また戻っていくスタッフもいます。全拠点で情報やカルテは共有していますし、超音波や採卵に関する機器も、東京と大阪で全て同じものを揃えています。また、頻繁にスカイプなどでやり取りをしていますので、こちらに来てもスムーズに診察が行なえます。移動もdoor to doorで3時間ですしね。
―今後、取り組んでいこうとされていることがあれば教えてください。
船曳先生:
一番問題となる反復着床不全に対し、子宮内膜の再生に力を入れています。以前からIFCEという着床補助技術は手がけていたのですが、最近は新たに、内膜が薄い、癒着しているなどの症例に対して、内膜の再生に取り組んでいます。
ビルの外観
―今後のビジョンについてお聞かせください。
東京大阪という二大拠点を持つことで、グローバル化にも対応できたらと思っています。
船曳先生:
これはすでに取り組んでいることですが、外国のドクターと一緒に子宮内膜の着床時期の検査について、共同研究を行っています。すでにデータが集まり、これから解析をするという段階です。
田口先生:
また、最近新しく始めた研究で、子宮内膜の細菌叢を改善することで着床に影響するのではないかという研究も始めています。
船曳先生:
以前は、子宮内膜炎といった炎症のある人にしか子宮内には細菌叢がないと思われていたのですが、細菌叢が変わると着床不全の原因になる可能性があることが分かり、遺伝子レベルで研究しています。
まとめ
基本的なことから画期的なものまで、不妊治療をあらゆる角度から研究されているからこそ、広く支持されているのだと感じたインタビューとなりました。また、グローバル化にもいち早く対応されており、国内外を問わず、ますます患者さんが増えていきそうですが、そういった部分にも配慮されているところにも素晴らしさを感じました。
診療の合間のお忙しい中、取材を受けていただいた田口先生、船曳先生、そして太田先生に、この場を借りて厚く御礼申し上げます。
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