東証のPERと各社のPERを比べてみる
ではもう一度、明光ネットワークに戻りましょう。明光ネットワークの決算短信を見ると、当期の予想1株当たり当期純利益が84円23銭とされています。この金額は監査法人の監査を受けているわけではなく、あくまで会社が自ら掲げた予想ではありますが、ひとまずこれを信用しましょう。
予想PER
=株価1236円÷「予想」1株当たり当期純利益84円23銭
=14.7倍
となります。東証1部の予想PER 15.75倍とかなり近い水準です。
これに対して、アベノミクスで一躍脚光を浴びた保育業界の風雲児、JPホールディングス(2749)を見てみましょう。
8月27日の終値は497円です。そして、今現在進行している2014年3月期の「予想」1株当たり当期純利益は、11円53銭です。よって、予想PERを計算すると……
予想PER
=株価497円÷「予想」1株当たり当期純利益11円53銭
=43.1倍
となります。東証1部の予想PER 15.75倍と比べると、かなり高い水準です。
なぜ、明光ネットワークの予想PERは14.7倍であるのに対し、JPホールディングスの予想PERは43.1倍にもなるのでしょうか?
様々な理由があるでしょうが、その1つとして、それぞれの企業の成長性が挙げられます。
明光ネットワークは、個別指導塾をFC展開する企業です。今の日本では、個別指導塾を含め、多くの小中高生が既に塾に通っているでしょうし、さらに少子化時代ですから将来的にはマーケットが縮小することでしょう。
ということは、将来にかけて売上や利益が大きく成長するとは考えにくく、むしろ過当競争により、売上や利益率が減少することが予想されます。
それに比べ、JPホールディングスは、アベノミクスのリーダーシップの下、待機児童を解消するために保育所を増加させるという追い風を受けて、将来の売上や利益成長を期待できる業界です。
予想PERは、このような各業界の将来性を加味した水準になっていると考えられます。
業種・業界ごとにPERの傾向が異なる点に注意
というわけで、業種・業界ごとに適当な水準のPERがありますから、PERの水準が15~20倍より上か下かで画一的に割安・割高を判断するのは、危険な投資判断といえます。もっとも、株式投資において怖いのは、PERが40倍にもなるほど期待が高まった企業に投資し、その後、成長期待が失われてしまったときです。そのとき、大幅な株価下落が起こることでしょう。
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