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子犬購入は生後56日を過ぎてから/動愛法

「動物の愛護及び管理に関する法律」(略して動愛法)が改正され、2013年9月1日より施行されました。改正における議論の主要なテーマは子犬や子猫の販売月齢の制限。どんなところが改正されたのか、詳しくみていきましょう。

大塚 良重

執筆者:大塚 良重

犬ガイド

法律というとちょっとお堅いというイメージがありますが、「動物の愛護及び管理に関する法律」(略して動愛法)は私たち一般飼い主にとっても身近な法律です。ペットを巡る環境や時代の流れから、動愛法にはまだまだ改正すべき点があるとして議論が重ねられてきましたが、2012年の9月に「動物の愛護及び管理に関する法律の一部を改正する法律(改正動物愛護管理法)」が公布され、2013年の9月1日より施行されました。私たち飼い主に、直接的に関係する主な改正部分にはどんなものがあるのか見ていきましょう。

子犬や子猫の販売月齢を制限

子犬の販売月齢の制限

生後56日に満たない子犬や子猫は販売ならびに販売のための展示や引渡しは禁止に(ただし数年の猶予期間がある)

子犬や子猫の販売月齢については、動愛法改正における議論の主要なテーマになっていました。犬の場合、早期に母犬や兄弟犬から引き離されることによって、犬としての社会化不足が起こり、ストレスに対して弱い、精神的な落ち着きに欠ける、シャイになりやすい、などの傾向があり、その結果、しつけも入りにくく、吠え癖や咬み癖が出る率が高くなるということが指摘されています。そういう犬と暮らすことになった飼い主さんの中には、手に負えないとばかりに保健所に出してしまうような人もいます。そこまでいかずとも、吠え癖や咬み癖によって周囲から問題犬のレッテルを貼られてしまった犬と暮らす飼い主さんにとっては余計な苦労がつきまとうことになるでしょう。

確かに幼い子犬は可愛いものです。しかし、長い目で将来を考えれば、過不足のない社会化期を過ごさせてあげたほうがいいのは誰の目にも明らかなはず。あまりに幼齢の子犬を売る・買うことに対して、「欲しがる人がいるから売るんだ」「いや、売っているから買うんだ」、これでは鶏が先か卵が先かの議論のようなものです。大切なのは、子犬が育つ環境と将来。

海外では以前から子犬の販売月齢について法律や条例で決められている国もありますが、法改正によりやっと日本でもそれに追随する形となりました。2013年9月1日からは、生後56日を経過しない子犬は販売、ならびに販売のための展示や引渡しが禁止となりました。つまり、生後56日に満たない子犬は購入できないということ。ただし、いきなりすべての販売業者にそれを望むのは無理があるということなのでしょうか、政府の説明としては「円滑に施行し、すべての販売業者に遵守してもらうため」に、「平成28年8月いっぱいまでの3年間は制限月齢を生後45日とし、その後は新たに法律で定めるまでの間は生後49日とする」という但し書きがついていました。ガイドとしては、この点、少々残念でしたが。

これから子犬を購入したいと考えている方は、その子犬の誕生日は必ずチェックし、ある程度の期間を母犬や兄弟犬らと一緒に過ごせる環境で育ったのかどうか確認するようにしましょう。

売る側には購入希望者と直接会って、子犬を見せ、飼い方などを説明する義務

子犬を購入したいと思った場合、子犬を販売するブリーダーやペットショップなどには、法律的な言葉で言いますと現物確認と対面説明が義務付けられます。これはどういうことかというと、子犬を買いたいという希望者と直接会って、子犬をちゃんと見せた上で、その子犬の性別や誕生日はもちろん、健康度や病歴、食事の与え方など基本的な飼い方、ワクチンについて、不妊や去勢について、かかりやすい病気について、犬種の特性などを説明しなければいけないということです。

ということは、インターネットを通じて子犬を直接見ることなく手に入れるという購入方法は禁止となるわけです。犬は物ではありません。傷があるから返品とか、気に入らないから返品など、そう簡単にできるわけもありません。一つの命を預かるのですから、自分の目できちんと確認をし、説明に納得してから購入するようにしましょう。

また、子犬と会うことを渋ったり、説明がおろそかである場合は、業者として不適格ですから、そういうところから子犬を購入するのは控えたほうが無難です。

次のページでは、罰則や犬猫の引き取りについて。

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